37. 【決勝全ファイナリスト+α感想】Eurovision Song Contest 2022

 楽しみにし続けて来たEurovision Song Contest 2022、ついに優勝国が決まりましたね。


📖 準決勝2までの内容はこちら。

 35. Eurovision Song Contest 2022 注目しているアーティストたち ※準決勝2結果反映済み

https://kakuyomu.jp/works/1177354054897097110/episodes/16816927862826224145


 今回の記事は、決勝に出場したすべての出場者の感想を、幕間なども含め一気に書き綴ったものです。フルでご覧になりたい方は、YouTubeで以下のタイトルの動画をご覧ください。(公式が公開している動画なのでご安心を)

 Eurovision Song Contest 2022 - Grand Final - Full Show - Live Stream - Turin


※文末で優勝国の結果を記載しています。ネタバレを踏みたくない方は、閲覧をお控えください。

※記載は、国名:アーティスト名/楽曲名 です。



───オープニングアクト───



〇 Laura Alice Rossella Pausini

 今年のMCの一人である彼女。こんな感じのステージする人だったんですね。かっこいい……。好きになってしまう……!



───ファイナリスト パフォーマンス───



● チェコ:We Are Domi/Lights Off

 一番目、低音スタート、エレクトロニカという割と盛り上がるのが大変そうな中、時間が経つにつれどんどん観客を盛り上げていく姿がかっこよかった。演奏後の3人のニッコニコな「サンキュー!」も印象的。



● ルーマニア:WRS/Llámame

 めっちゃめちゃ盛り上がった……! イタリアの人が好きなリズム感なのか。ルーマニアだけど、私のイメージするスペインのダンスみたいな情熱的なパフォーマンスで、なんか気づいたら露出度が上がっていた。



● ポルトガル:Maro/Saudade, saudade

 ルーマニアであったまった会場の興奮を受け入れつつ落ち着かせる、癒しの音楽。ここまでもずっと安定感がある歌声だったけど、コーラスの人たちと輪になって歌う演出だったこともあるのか、にこにこと目くばせしつつとてもリラックスして歌ってるように見えた。

 ありがとう……。浄化されました。私の中では優勝……。



● フィンランド:The Rasmus/Jezebel

 ここまでの流れ、全部「いや前の国との温度差よ」っていう布陣で、偶然とはいえすごいですね。

 ポルトガルで落ち着いたと思ったら空気がすぐに彼らのものになる。世界の人が知ってる「ジョージィ……」モチーフからスタートした時点で、みんなの関心を惹く。サビのキャッチーさ(物覚えのよくない私でさえわかるようになった)も含めすごい。今回が初見の観客でも、一緒になって大サビで「Jezebeeeeeel !!!」と言えるようになるのは大きい。



● スイス:Marius Bear/Boys Do Cry

 衣装もシンプル、ステージに一人きり、そしてバラード。聴かせる力がないとぼんやりしてしまうけど、目も耳も離せないほど美しくて釘付け。

 あったかい声色はどこか往年のジャズシンガーたちを思わせ、ハスキーながら高音がよく伸びる伸びる。スイスの音楽ってイメージが特になかったけど、聴いてみたくなった。(マイクの雑音はどうしたどうした。)



● フランス:Alvan & Ahez/Fulenn

 ここへきて初のシード国。準決勝からの面々より愛着ないなぁ……そんなことを思っていた私が恥ずかしい。

 なんだ、この色んな世界を思い出すようなポップスは。ブルトン語って初めて聴いた。アラブのようなフレンチハウスのような……。「楽器(何個か掛け持ち)一人」で「三人ボーカル(楽器の人も歌うので歌唱は四人)」ってなかなか個性的な布陣。



● ノルウェー:Subwoolfer/Give That Wolf a Banana

 フランスを見た後だと「めっちゃめちゃストレートなエレクトロニカポップだな」という気持ちになる。実家のような安心感。

 オーディエンスもサビでは大盛り上がりでしたね。見た目のインパクトがある分、曲が良くないと飽きられてしまう印象があるけど、最後までヒューヒュー言われてて楽しくなった。バナナ持ってるノルウェーのお客さんたくさんだったのもいい。

 幕間の映像で、イタリアの大地に彼らの姿が映る演出は、「そういやこの人たち月から来たんだっけか」と思い出しました。

 私の中では二組目の優勝。



● アルメニア:Rosa Linn/Snap

 ベッドでギターを弾いてた女の子が、マイクをもぎ取り立ち上がって歌い出す。そして最後は壁を破って外へ! この演出、ミュージカルみたいでやっぱり好きだなぁ……。ドラマチックな楽曲を歌いこなせる彼女にピッタリだと思う。



───小休止───


 MikaすぐMCの仲間にくっついて腕組んじゃうの好き。


─────────



● イタリア:Mahmood & Blanco/Brividi

 前回優勝、そして今回のホスト国! アカペラから始まる美しいバラード、出だしから観客が一緒に歌い出すのはさすが。(途中からスッと来た人も歌うとは思わずびっくりした)2人のハーモニーが合わさると天国みたいでしたね。ユニゾンよりハモリが綺麗ってどういうことなの……。バラードな曲調に対し、会場の盛り上がりがすごかったなー。



● スペイン:Chanel Terrero/SloMo

 思い描いたスペインの情熱がそこにはありました。女性の美しさと強さを感じるパフォーマンス、ビヨンセっぽさあるなと感じた。美と歌唱力は人を圧倒するんだ……! 扇子を取り出して自分で風吹かせたところなんて、もう、女神様が自分のたわぶれに熱狂する人間を“あらあらかわいいわね”って見てるような感じで好きになってしまった。



● オランダ:S10/De diepte

 前々から応援していた彼女。曲前のヒューヒューがもうすごい。興奮冷めやらぬステージで、シリアスな曲調のバラードを歌う(しかも一人、基本立ってるだけというシンプルさ)姿は本当に崇高な儀式のようで……。感情がぐちゃぐちゃです。客席から聞こえるサビの"Oeoeo Aaah"も美しくて、なんやかんやで私は泣いた。

 個人的な優勝国がまた一つ増えました。



● ウクライナ:Kalush Orchestra/Stefania (Стефанія)

 会場からの大きな拍手と歓声で迎えられた彼ら。伝統楽器とラップの混成という世界観のバンド、ボーカルが間奏で笛を吹いてる姿は、前々から印象に残ってましたがファイナルでも輝いてたな……。毎回思ってましたが、なんていうジャンルなんだこの曲。

 どうしても情勢を無視して彼らのパフォーマンスを見るのは難しいけど、会場のあったかい盛り上がりを見ると、単にそれだけが熱気の根源とも思えない。音楽の力はすごいものだなとつくづく感じますね。



● ドイツ:Malik Harris/Rockstars

 シード国来たあ。最近よく見る、一人で色んな楽器を演奏して、録音しながらパフォーマンスするやーつだ! そういえば確かに、この形式でEurovisionに出るのもありだよなと気付かせてくれました。

 広いステージが彼のプライベートなスタジオのように見え、エモーショナルな曲がさらに美しく聴こえる。結構好きな感じだったので、他の曲も聴こうと思います。



● リトアニア:Monika Liu/Sentimentai

 ムードたっぷりな楽曲、彼女のマッシュルームカットの印象も相まって、なんとなくレトロでアンダーグラウンドな雰囲気が漂う。映画に出てくる、悪い奴らが取引してる高級バーみたいな……。



● アゼルバイジャン:Nadir Rüstamli/Fade to Black

 準決勝から気になり始めた人。会場の浮足だった空気の中で歌うメロディが、ますます孤独の輪郭を浮かび上がらせてくれて、とても力強く美しい。あの囁くような始まりの歌が、そんな歌い上げるような展開見せるんですか……? というドラマチックなパフォーマンス。

 ありがとう……私の中ではまたまた優勝が出ました。



● ベルギー:Jérémie Makiese/Miss You

 こちらもバラード、だけどわかりやすいポップスといった構成で、ダンサブルなリズムもあるのが今時だなと。彼の曲はまだ出場曲しか聴いたことないのだけど、きっとアップテンポな曲や明るい曲調なものも歌いこなせるタイプだろうな……と想像出来る。(本当はどんな感じかまだ調べる前です、違うかもしれませんが……)



● ギリシャ:Amanda Tenfjord/Die Together

 彼女の幕間映像が神殿だったのは、やっぱ神様の国だから……?

 静かな導入の楽曲、ざわついていた会場が次第に静かになり、引き込まれた人たちの歓声に包まれるのがたまらなくよかった。準決勝よりも歌声(特に高音)が安定し、表情もキリッとして見えた気がした。戦いの中で成長している……。美しい時間をありがとう……。



● アイスランド:Systur/Með hækkandi sól

 去年のDaði & Gagnamagniðが「曲がいいシュール枠」だったのをとてもよく覚えていたので、今年は正統派なフォーク・ポップスバンドが出てきてびっくりした。

 アイスランド、音楽の振れ幅広すぎやしないか。すごいな。



● モルドヴァ:Zdob și Zdub & Frații Advahov/Trenulețul

 ここまでバラード続きだったこともあり、あの彼らのダンサブルでアップテンポなご機嫌ソング、会場の盛り上がりすごかった。みんな手を上げぴょんぴょん飛ぶ姿、これだよこれぇ! このライブ感!

 衣装や演出の色味、覚えやすい曲も含め、ステージに彼らが居るだけでなんか楽しい。あと何曲かやって欲しくなっちゃう。



● スウェーデン:Cornelia Jakobs/Hold Me Closer

 床にそんな姿勢で座って、そんな声量が出せるんですか……? 前も思ったけど今回も圧倒された。本人の気だるそうなリラックスした雰囲気と力強い歌声が、曲が進むにつれ少しずつ混ざり合い、大サビのカタルシスへ向かう。魂の叫びよ……。

 終わってからご本人が感極まっていたような気がしたけど、それも納得の歌唱。



───小休止───


 Mikaの横に映り込むノルウェー、地球観光にきたただのMikaファンの一般宇宙人みたいでにっこりしちゃった。そりゃMikaさんも笑っちゃうよね。


─────────


● オーストラリア:Sheldon Riley/Not the Same

 クリスタルで顔を隠した彼が歌唱する姿は、いやもうこれは美の化身。音楽の神様、居るかもしれないな……と思う時はこういうパフォーマンスを目にした時。

 静まり返った空気を切り裂く歌声、準決勝より歌が上手くなったのでは……? あの時点でうまかったのに……? 特に感情表現が際立っていて、もらい泣きしそうになりました。正直に言うと、私は泣いた。



● イギリス:Sam Ryder/Space Man

 お待ちかねのシード国。幕間で、イタリアの綺麗な海に浮かぶ彼のピースサインのニッコニコ笑顔見たら心が和んだ。

 どちらかと言えばバラードのはずなのに、めちゃめちゃ楽しいステージングなのは彼の持ち味だと思う。居るだけで溢れ出す陽気さ。友達の旦那くらいの位置にいて欲しい。

 ハイトーンが美しい一方、低音少し聴きにくかったのはどうしたのかと思ったけど、それはそれとして何でこの人のステージこんな楽しいんだ。そのギター、いつの間に持ってたの?



● ポーランド:Krystian Ochman/River

 本当に楽しみにしてた人。不穏なフルーツバスケット(MV見るとよりわかる)を決勝で見られて嬉しい。

 正装の背広でビシッと決め、出だしから何の不安もなく身を委ねられる歌声。この人のコンサート会場に来たんですよ私たちは。そんな説得力のある歌唱力と、オーディエンスの視線をエネルギーに変える本人の胆力。

 また出ちゃったな、私の中の優勝国……!



● セルビア:Konstrakta/In corpore sano

 一度見たら忘れられない手洗いソング。真顔で椅子に座ってひたすら手を洗う、独特な世界観。今まで、このパフォーマンスしか見たことがなかったので、ファイナルの入場で彼女がはにかみつつ(?)お辞儀をしてたのが意外だった。日本人の私からすると、なんとなく親近感が湧く動きだった。

 手を洗うという個人的な行為が、人類を守るという神聖な行為に変わった時代を感じる……ようなそうではないような。不思議な曲、耳に残る。



● エストニア:Stefan Airapetjan/Hope

 こんなモデルみたいな人が歌もギターも上手いとか、神様ちょっと己の欲望に正直すぎませんか。字幕系を除くと、映像にエフェクトかけたのはこの人だけだろうか。

 なんとなくアメリカのカウボーイを思い出す雰囲気の曲。それがエストニアから出るという興味深さ。サビは会場を巻き込んでの大盛り上がりでしたね。



───投票時間───


〇 Måneskin

 昨年の優勝バンド降臨。お久しぶりです!相変わらずかっこいいロックですね……! なんか去年より上手くなってないか……? 気のせい? 超かっこいい。ありがとう!



〇 Mika

 マジカルMikaって言われて登場するの解釈一致すぎて好き。コーチェラとはまた違う、大人数のダンサーを従えた派手でノリノリなステージング。彼はスポットライトがよく似合う人だよほんと……。嬉し泣きしながら見た。パフォーマンス後のMikaコールにも納得。



───結果発表 24 of 40countries───


 アイスランド国内の結果発表、Daði & Gagnamagniðで出演したDaði Freyrの奥さんÁrný Fjóla Ásmundsdóttirが出てきてびっくりした。



───🏆最終結果発表🏆───



 イギリス、1位になるかならないかという場面でさえずっとニッコニコでこっちまで笑ってしまう。さすがロックの国の人は余裕が違う。


 そして、うわーーー!ウクライナ優勝おめでとうございます!!!

 もう感極まりすぎて私は号泣しながら彼らのWinner's performanceを見ていました。

 これで来年の開催はウクライナになるわけだけど、状況も環境も含め、開催出来るといいな……!バンドメンバーも何もかも、みんな元気で来年また会いたいですね。



──────振り返り──────



 終わっちゃいましたね、今年のEurovision Song Contest。本当に、ずっと楽しかった。


 準決勝や決勝を勝ち進むには、曲の良さ・パフォーマンスの質だけでなく「初見さんを楽しませる力」が重要になるんだなと痛感しました。世界観を作り込んだ上で、それまでの文脈を知らなくても楽しめること。初見でも、スッとステージの面々の仲間になれること。


 優勝したウクライナに入った票の中に、現状を考慮した上での“応援票”や“同情票”があった可能性はもちろん否定しません。だけど、彼らのパフォーマンスは確かに「わかりやすさ」と「個性」に満ち溢れ、曲を聴いただけでもすぐにノリノリになれる「楽しさ」に満ちていました。

 優勝のトロフィーは、他でもない彼らのの上に輝いています。


 ステージの外へ目を移すと、そこはコロナウイルスと戦争と……あらゆる問題に溢れる世界が今も広がっているのだけれど。だけど、音楽が流れている間はみんな同じ景色を見て、踊って歌ってドキドキできる。音楽がこの世にあって本当に良かったです。

 どうもありがとうございました。だからこそ、心の底から思います。

 来年も楽しみだ! それまでに、どうか世界が平和になっていて!

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