遺産を追う狼

北野かほり

第一章・ベツレヘムの星

ほしのはなし

ある会話

 大切な話をしましょう

 大丈夫、あなたを退屈なんてさせないわ。それにもう時間なんて私もあなたもあまりないのだから。


 狼の話よ。

 特殊な力を得たばかりに死ねずに、武器として使われた、戦場以外の居場所がなかった狼たちのおはなし。

 賢く利口で、けれど疎まれておいやられた、哀れな狼のはなし。けれど一匹じゃない。彼らは群れなのだから。だからまとめてブローク。

 名もないブロークたち。

 賢く利口で、けれど疎まれたブローク。

 誰よりも国を愛したブローク。

 裏切り者のブローク。

 この世界がどうしてこうあるのか――願ったブロークたちのお話。


 ねぇ、このお話が終わったら、あなたの答えを聞かせてちょうだい。

 裏切り者のブローク

 あなたの言葉を知りたいの。

 この世界をかくあるようにしたあなたの言葉を、私に聞かせてちょうだい。

 

 大丈夫、私はどんな答えでも受け止めるから。

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