学校一の美少女がいつも隣に寝ているので全ての身の回りの世話を引き受けることにしました

神崎夜一

第1話 メロンパン


「ねぇ、さっちゃんパン買ってきて」

「何が良い?」

「メロンパン♪」


いつも通りに頼まれたことをする。

椎名凪沙は眠たそうに目を擦り俺にそう告げるとまた眠たそうに寝てしまう。


俺は購買部で買って来たメロンパンを凪沙の頭に乗せる。

話しかけても起きない凪沙は物理的に起こさないとまるで起きない。

凪沙は授業の大半は寝ていて、俺が凪沙の分のノートもとっている。


「んっー。何か頭に乗ってる」


凪沙はそう言いながらも机に伏している。


「お前のパンだよ」

「買って来てくれたんだ。ありがとね」

「おやすみ💤」


頭にメロンパンが乗ってる状態でまたも眠ってしまう凪沙。

隣に座る俺(夜崎咲夜)はいつもこいつの面倒を見ているのだが、本当に世話がやける。


「頭に乗ってる状態でよく寝れるな」

「💤」


俺の言葉に反応しない凪沙はもう夢の中だろう。

そういう時は頬を軽くつねって俺は凪沙を起こしている。


「あ、さっちゃんおはよ」

「って凪沙寝過ぎなんだよ。まずはメロンパン食べてからにしろ」

「そうだね。さっちゃんメロンパン食べさせて」

「ったくしょうがないな」


凪沙は寝ること意外本当何もできないと言っても過言ではないほど身の回りのことが出来ない。

食べることさえできない。

以前凪沙に自分で食べさせたが全て食べ物が口から落ちてしまいにはそのまま寝てしまうほどだった。

以降俺が食べさせている。


「んっ。メロンパンおいしい」

「目が塞がって来てるぞ」

「おいしいけど眠い」

「寝るな」

「さっちゃんもう一口ちょうだ、、、、、い」

「って寝るな!起きろ!」

「んぁ?あとはさっちゃんにあげる」


食べてる最中にも寝てしまう凪沙にメロンパンを食べさせるにも一苦労だ。


それにしても凪沙は可愛い。艶やかなロング茶髪にいつも眠たそうな茶目。誰もが振り返ってしまう整った顔。それに鼻腔をくすぐる甘い香りに心を奪われてしまう。


俺は凪沙が食べ残したメロンパンを眺める。

メロンパンには一口しか食べられていないが、少し湿っていて歯形が付いた凪沙の食べかけに俺は食べることを躊躇ってしまう。

こういうことはほとんど毎日あるが、なかなか慣れるものではない。 


「メロンパン食うからな」

「💤」


夢の中の凪沙は当然俺の言葉には反応することもない。

俺は緊張しながらもメロンパンを食べた。

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