第五話  開戦

シャウルはとりあえず魔術師二百人がちゃんとシャウルの近くにいるか確認した後、大樹ヨルフに最近見ている不思議な夢のことを大樹ヨルフに伝えに行った。

シャウル「ヨルフ様、伝えたいことがあります。」

ヨルフ「シャウルか。まだ何かあるのか?」

シャウル「この戦いには関係の無いことなのですが、最近不思議な夢を二回も見たのです。何か意味があるのでしょうか」

ヨルフ「森の賢者はめったに夢を見ないため、夢を見たのであればその夢には意味がある。で?その夢とはどのようなものだ。」

シャウル「どこかはわかりませんが迷路のように道が枝分かれしている広く長い洞窟の奥からほのかに何かが光っているというだけの夢です。」

ヨルフ「それはいつから見た?」

シャウル「ダラス脱出後の睡眠時からです。」

ヨルフ「私にも詳しくはわからないが、おそらくお前がダラスに行った特にその洞窟の様な所に近ずいてそこにある何かの影響を受けて洞窟とお前の間につながりができたのだろう。もう一度海底都市ダラスへ行けばお前と洞窟とのつながりの力で夢で見た場所がどこなのか分かるだろう。」

シャウル「分かりました。ありがとうございます。この後に行くであろうマユイルとの冒険に役立つかもしれません。」

ヨルフ「話はそれだけか?」

シャウル「はいそれだけです。では私はこれで。」

そう言うとシャウルはヨルフのもとを去り、昼ご飯には少ないが、木の実をいくつか口にほおり込んだ。

やることもないし十分休んだので今の夢の話をマユイルにも伝えに行った。

マユイルはコスローの中の大海アルン側のところにいた

シャウル「マユイル、話しかけても大丈夫ですか?」

マユイル「なんでしょうシャウル、今は暇なので大丈夫ですが、」

シャウル「海底都市ダラスへ行った後に不思議な夢を見るのです。もしかするとこの後のユリギエルの失われた杖を探す手掛かりになるのではと思い、不必要かもしれませんが夢の内容を伝えに来ました。」

マユイル「それはもしかして迷路のように道が枝分かれした広い洞窟の夢ですか?」

シャウルはマユイルの言葉に衝撃が走った。

シャウル「その通りです。マユイルも海底都市ダラスへ向かった後にその夢を見たのですか?」

マユイル「その通りです。一体どういうことなのでしょう?」

シャウル「大樹ヨルフによると海底都市ダラスに行ったときにその夢に出てくる洞窟に接触して洞窟とのつながりができたそうなのです。」

マユイル「そういえば海底都市ダラスの地下には洞窟があり、まだすべては調べていませんでしたね。おそらく私たちが見ていたのはダラスの地下の夢でしょう。」

シャウル「しかし魔物の巣と化した海底都市ダラスの地下に光の神の武器が隠されているとは考えにくいですね。」

マユイル「まあそれも含めて冒険の中で探せばよいでしょう。仮にユリギエルの失われた杖が見つからなくとも代わりに敵の情報をとれます。どちらにしろ海底都市ダラスにはもう一度行く必要があるでしょう。」

シャウル「ありがとうございます。有意義な暇つぶしでした。」

そう言うとシャウルが魔術師のいるところへ戻ろうとするとマユイルが警戒しているような声でシャウルを止めた。

マユイル「待ってくださいシャウル、あちらに何かを感じます。」

その瞬間、大樹ヨルフからシャウルにテレパシーが来た。

ヨルフ「シャウル、敵の魔物が大海アルンから現れた。即座に魔術師を集めて配置に着け。」

シャウルは魔術師たちのいる方へ向かい招集をかけて、二百人の魔術師全員を集め、大海アルンの方向へと向かった。

ヨルフ「死ぬでないぞシャウル」

シャウルと魔術師はコスローの大森林を抜けて大海アルンの方へ向かった。コスローの大森林を抜けるとたいりょうの木のゴーレムが行進している。

コスローの大森林と大海アルンの間には広大なコアル平原があり、コアル平原を両断するように長い川が流れている。

コスローの大森林の軍勢はその川の前で止まり、魔物の軍勢を待った。

しばらくすると地平線を覆いつくすような大量の魔物の軍勢が現れた。シャウルとマユイルはそれぞれ魔術師とゴーレムの数を数え、動きやすいようにまとまらせた。

魔物の軍勢が次第に近ずいてくると魔物の軍勢の構成が見えてきた。魔物の群れは大きく分けて四つの軍勢に分かれており、一つの軍勢はざっと五、六千といったところだ。シャウルはユミユルにまたがり、コンパスを見た。コンパスはそのまま魔物の軍勢の方向を刺しており、炎の悪魔メジクリアスはどこにも見当たらない。一つ目の魔物の軍勢が川の反対側につき、マユイル達とにらみ合いになった。頭数では圧倒的に魔物の軍勢の方が多い。シャウルは本当にマユイルと木のゴーレムで相手になるのかどうか不安になった。とりあえず魔物の軍勢の中に炎の悪魔メジクリアスは見当たらないので魔術師二百人を連れていったん後ろに下がった。シャウルと魔術師が後ろに下がると、魔物たちは一つ目の軍勢だけで十分と見たのか、一つ目の魔物の軍勢の雰囲気が静まり、後ろの軍勢を待たずに戦闘態勢に入った。

しばらく一帯の雰囲気が張り詰めた後に魔物の一人が叫んだ。





魔物の一人「かかれー」

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