第五話 見知らぬ人

シャウルはまた例の花畑にワープしていた。残る神器は3つ、前回マントの入っていた箱は割れたままになっている。さっそくマントを手に入れた時のように石の直方体に手を触れ魔力を送り込もうとしたが昨日のことで魔力を大きく消耗していることに気づき地面に手を触れ魔力を吸収する体制になった。

シャウル「コスローの木々たち、この私に力を分けてください。」

そう言うとシャウルの指先から体に金色のオーラのようなものが流れ込んでくる。コスローの木々から魔力を吸収しているのだ。これは一見するとシャウルが魔力を吸い取っているように見えるが実際は木々がシャウルの呼びかけに応えてシャウルに魔力を与えているのだ。普通人間に樹木特有の魔力を流すと順応できずに体が壊れるが森の賢者として半分樹木半分人間のシャウルは自信の持てる魔力の許容量までならいくら注ぎ込まれても大丈夫だ。魔力を吸収しきり満タンになったところでもう一度石に手を触れ魔力を注ぎ込んだ。



3日後


シャウルは残り三つの神器を手に入れ、それぞれ指輪を使ってフェイクも取り除いた。大樹ヨルフ曰く神器の使い方については4つの神器を持って例の花畑に行くとわかるそうだ。

四つの神器の見た目はそれぞれこうだ。

緑のマント・・・濃い緑で金色の模様がある、内側に金色の腕輪がついている。少し大きく重いマントだ。

本・・・明らかに持ち歩く用ではない分厚すぎる本だ。中には意味のわからない記述や出来事が書かれている。

弓矢・・・シャウルが使うには大きすぎる2m半はある丈夫で大きな木の弓とそれに匹敵する大きさの金の矢。

犬・・・4つ目の神器は何と犬だ。これについてはもう分からん。

シャウルはこれらを見て弓矢以外は全然神器じゃないじゃないかと思った。

あとは神器の使い方について聞いたらようやく旅を始められる。本、弓矢、犬、マントの順に一つずつ手に抱えた状態で自分ごとワープして花畑に持っていった。マントを持って花畑にワープすると花畑に見知らぬ人が背を向けて立っていた。

身長はシャウルと同じくらいで緑のフード付きマントを着ている、フードの横からは青口長い髪の毛が見えている。見知らぬ人がこちらを振り向いた。目は透き通った青で銀の耳飾りをしている。

見知らぬ人が独り言のように話しかけた。

見知らぬ人「三百二十四年と二ヶ月の間ここで待ち続けていました。はじめましてシャウル、私の名はモログ。三百年前の森の賢者です。」

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