プレゼント

 シンのスキルはオールラウンダーな構成に指揮官としての能力に特化した仕様にしている。

 特に”相互伝達””明確伝達””短縮伝達”は指揮官系として特化している。

 ”相互伝達”は相互間の命令伝達を効率化するスキルで他2つの”相互伝達”の能力の一部を増大したスキルだ。

 ”明確伝達”なら「アレをしろ」と言う抽象的な意図だけで指示が伝達でき、”短縮伝達”に至ったは「アレをしろ」を「行け」の一言で要約しても命令が確実に相手に伝わるスキルだ。

 加えて、シンには”潜在威圧”と言う”威圧”の威力を引き換えに制御容易なスキルを獲得した事で任意の対象に対して”威圧”をかけられる。

 しかも、意志がある相手ならどんな相手にも対象がとれる為、極端な話、「電気信号による思考」と言う点において人間も機械も同じであり、”意志を持っている”と言う判定になるので機械に対してもジャマーの様な効果を発揮することが可能なスキルであり、シンがいれば敵軍が潜在的に不利になるようになっており、味方の生存率を高めている。


 リテラは遠距離戦に特化した仕様になっており”気配遮断””気配探知”を駆使して敵に気づかれる事無く敵の居場所を探知、遠方から狙撃するスタイルになっている。

 更に”遠方捕捉””動体捕捉”により遠くの敵を捉え、動く対象を確実に捕捉するような鷹の目のようなスキルも獲得している。

 今のリテラなら5km先の動くリニアトレーンの標的の頭を撃ち抜く事も造作もない。


 フィオナは近中距離、乱戦主体の仕様になっており、ナイフやトンファー、カービンライフル、ハンドガンを使った戦闘スタイルであり、乱戦に際して敵から気配を消し背後の敵の気配を察知する”気配遮断”と”気配探知”を持っている。

 それに加えて、高度な乱戦に対する正確な判断を下すために”情報処理”と言うスキルを手に入れている。

 その名の通り情報を処理する事に長けたスキルだ。

 今はそれほどではないが、このままスキルを強化すれば研究機関のコンピューターと同等以上の処理能力を獲得する日が来るかも知れない。


 以上の様に彼らは各々の特性を訓練し特化させ、時に発動した”神言術”で作った自分のスキルを強化しここまで成長させた。

 恐らく、アリシアのようなイレギュラーを除いたらかなり速い成長だ。

 アリシアもそれが分かるから「すごい」と褒めたが、どうも彼らはアリシアと比べるとやはり霞んで見えるのか、どうも歯切れは悪かった。

 ただ、実戦に使えそうなのは事実だ。

 だからこそ、渡す物があった。




「みんなにプレゼントがあります」


「プレゼントの品?」


「何かくれるの?」




 そう言って、アリシアは左手を広げるとそこから3つの光が現れて光が各々シンとリテラとフィオナに入り込んだ。




「みんなの特性に合わせた特注の武器だよ。気に入ってくれると良いな」




 アリシアはATDXの7日目にこれらの武器を設計し何度も試作した。

 とにかく、全員で生き残る為に何度も練り直し何度も失敗しデータを累積して作りあげた逸品だ。




 来の藍陰


 神力保有 A


 攻撃力 大 神力 大 心意斬撃? ステータス補正 大 偽神特攻 大




 聖銃 セルヴァ


 神力保有 A


 攻撃力 大 神力 大 心意射撃 ? ステータス補正 大 偽神特攻 大




 聖打突 セルファー


 神力保有 A


 攻撃力 大 神力 大 心意打撃 ? ステータス補正 大 偽神特攻 大




 聖兵の銀輝具


 神力保有 A


 防御力 極大 対神耐性 極大 下位攻撃無効 大 神力 大 障壁 極大 武器補正 大 ステータス補正 大





 各武器は刀、マークスマンライフル、ハンドガン内蔵トンファーに仕上がっている。

 偽神と比べても低いステータスはステータス補正で補い、生存を優先するために鎧も防御を高めた。

 鎧は”戦神の蒼輝具”のデザインを基に各個人のメインカラーに合わせてあり、銀の鎧にシンは藍色、リテラはグリーン、フィオナはオレンジのラインが入っている。




「これをわたし達に?」


「うん、気に入ってくれたかな?」


「いや、凄いよ。前、使ったモノより全然良い」




 彼らは大いに喜んでくれた。

 確かに以前、自分が作った者に比べたら今作っているモノは全然違う。

 あの時はお遊びが入っていたが、今は違う。

 今は彼らに生存して欲しくてそれだけを考えて生産したのだ。

 その想いがあったからだろう。

 自分で思うに中々の完成度で出来たと思っている。




「みんな、絶対に生きて帰ってね」




 アリシアの祈るような仕草に3人は肯定した。

 なら、これ以上、彼らに言うことはない。

 まだ、準備もある。

 急がねば、アリシアは矢継ぎ早に次の場所に向かった。

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