回顧-3
《条件を満たしていないためクラスチェンジできません》
祝福のオーブに現れた【賢者】という未知のクラスにドキドキしながら、クラスチェンジをしようとしたところ、そんなメッセージが頭の中に流れた。
そのメッセージは、音声として聞こえたような、文字情報として見えたような、どちらにせよ一言一句過たず理解できるものだった。
レベルアップや魔法、スキルの習得時にも同じようなメッセージが流れるので、その声――あるいは文字――自体は馴染みのあるものだった。
「儂も長いことギルドにおるが【賢者】というのは聞いたことがないのう……」
クラスチェンジに立ち会ったギルドマスターは、そんなことを言っていた。
「もしかすると、特殊クラスかもしれんのう」
特殊クラスというのは、ある条件を満たすと現れるクラスのことで、【武闘僧】や【魔法剣士】なんかが有名だ。
たとえば【武闘僧】は、【白魔道士】と【喧嘩士】のふたつを
【魔法剣士】は【戦士】と【黒魔道士】を
そのあたりの判断基準は曖昧だが、少なくとも【戦士】のあとに選択できる中級職が【重戦士】ではなく【騎士】でなければだめだ、といわれている。
「こちらで調べられるだけは調べてみるわい」
その後、【賢者】についてはギルド総出で調べてくれたが、過去に記録はなく、新発見のクラスと認定された。
「新クラスだなんてことが周りに知れると、面倒に巻き込まれるかも知れないから、あまりギルドには近づかないほうがいいわね」
当時は俺を気遣っての配慮だと思っていたが、情報提供報酬に気づかせないための言葉だったんだな。
それからはひたすらレベリングの日々だった。
クラスチェンジの条件がわからないので、とりあえず初級戦闘職を
上級職の支援を受けながら、格上の敵と戦っての、いわゆるパワーレベリングというやつを行い、なにかのクラスで
およそ2年で、7つの戦闘初級職と、ついでに【荷運び】のレベルをすべて
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