第95話 幽霊じゃない

幽霊が出ると噂の廃病院を訪れた。

床に散らばるガラス片と、煙草の吸殻。

それらが急に途切れた。

頭上には診察室のプレート。

「次の方、どうぞ」

磨りガラスの向こうで優しい声が呼ぶ。

ああ、あれはお母さん。

奥に座っているのがお父さん。

涙がぽろぽろと溢れ、私は


警察に通報した。

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