第93話 椿

道に迷って辿り着いた旅館。

立体迷路のように植えられた椿。

「お待ちしておりました」

二人の老婆が深々と頭を垂れた。

とん、と右肩が叩かれ振り返ると、

椿の花が肩から転がり落ちた。

向き直ると、右の老婆の首が転がっていた。

「ではこちらへ」

左の老婆がしわりと笑んだ。

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