第89話 繰り返す

死の瞬間を繰り返す霊。

満開の桜に縄を結んで泣いている。

家族が悲しむよ、生きていればいいことあるよ。

陳腐な言葉を並べれば踏み台にかけた足を下ろし、走り去る。

そして近くの灯台から身を投げるのだ。

この風景の中で死にたかったんだろうな。

わかる、と呟いて、踏み台に足をかけた。

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