第74話 風船

風船が飛んでいる。

私の顔と同じ高さを保ったまま、ゆらゆらと漂っている。

捕まえようと手を伸ばすと、

風船はくるりと一回転し、目と歯を剥いて私を睨み付けた。

そして何かを叫ぶように口を開いた瞬間、弾けた。


この踏切は事故が多い。

頭が見つからないことも多い。

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