第62話 お姉さん

「こんなところで、どうしたの」

お隣のお姉さんが驚いた顔で僕を見た。

手には愛用の包丁。

お母さんがいない日はサンドイッチを作ってくれたっけ。

僕はただ、心配で。

何か重いものを引きずって廃墟に入っていくお姉さんが心配で。

…すごく眠い。

血に濡れた睫毛がゆっくりと下を向いた。

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