第12話 風習

母の田舎の葬儀は変わっている。

出棺の際に故人の血縁の女性が木綿の袋を被り、年若い順に棺に巻かれた縄を掴んで、仏間から門までついて歩く。

足元は絶対に見てはいけない。

ただ目の前の布だけを見て、縄を頼りに歩くのだ。

三年前に転んで袋がずれた従妹のさっちゃんは、今も病院にいる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る