第9話 おとしもの

「落としましたよ」

振り返ろうとしたが、頭を掴まれていて動けない。

目の前には私と同じ服を着た人。

…首がない。

「もう落としちゃだめですよ」

声の主が私を差し出し、私の体はお辞儀をするように傾いで受け取った。

くるりと視界が回り、手を振る紳士が遠ざかる。

…これ、逆向きだよね。

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