〜教団の真実〜

捕まった白命はリスト教団の幹部がいる本部に連れていかれた

そこにはテレビに映っていた、リスト教団第1信者、リストを含めた数十名が白命を迎えた

「こんにちはテロ様

いや、白命くんと呼んだらいいのかな」

どうやらこちらの素性はもうバレているらしい


「僕に何の用ですか」

そう答えるふてぶてしい姿を見ながらも

「少し君と話をしたかっただけだよ」

と向こうは通常運転で話を進める

「僕達はね、リスト教団を立ち上げた・・・」

そこまで言いかけ言葉を止める

それからもう一度口を開き直すと

「いやこんな前置きは置いておこう

僕らリスト教団幹部である者は

君が殺した犯罪者の親族に当たる者たちだ」

と驚くべき事実を答える

その驚きを見ながら冷めた目を向け

「やっぱり気づいてなかったんだね」

と言い放つと目の奥に宿る怒りや憎しみを押し殺した、とても冷たい口調で話を始めた


「さっきも言ったが僕らは君が殺した犯罪者の親族に当たる

犯罪者をかばうつもりはない

それだけの罪を犯す者も相当数いるからな


ただ、それでも君がかけた暗示は僕らにとって呪いであり、大切な人を殺したものだった

犯罪を犯す者全てが自殺に追いやられるなか、殺された僕らの親族はね

僕らを助けるためにその犯罪行為に及んでしまったんだよ


そんな事も知らず、君は全ての犯罪を裁いた

どんな理由があってそうなったか、なんておかまい無しだ

ただ罪を犯したと言う理由だけで僕らを助けるために犯罪を犯した彼らを殺した


結局、死んだ事で彼らを周りの人は犯罪としてしか見なかった

その行為にどんな理由があろうと

例え、人を助けるための事だろうとね


そしてその非難は僕らにも向いた

犯罪を犯した親族と言うだけで僕らは

周りの人から蔑まされた

君にわかるかい、この時の僕らの心情を…

分からないだろうね

理由もなく、犯罪を犯した者を一括りにして殺すような人には」


そう言い放つ彼らの目には哀れみにも似た何かを感じた

そんな彼らの話に何も返せない白命は、そのままただ静かに話を聞き続けたのだった

そんな白命に哀れみより怒りが増したのか

さっきより感情的に話し始める


「だから僕らは計画したんだよ

あんたの様な偽善者や、僕らみたいな犯罪者の親族を見下した者への復讐をね


そしてその前段階である、テロの神様の力を持つ君の失墜

そしてリスト教団が成り代わる事に成功した」

そこまで話し終えるとニヤリと笑う


「計画はとうとう最終段階に移行する」

そう呟き白命はようやく口を開く

「計画、それはなんだ」

その問いにさっきよりも不吉な笑みを浮かべる


「決まってるだろ、楽園計画だよ

まず、前段階を終えた僕らは

全ての人類や生命を教団に完全服従させる

これはテロの力を借り受けた僕らからすれば簡単だよ


本当は暗示を使って少しずつするつもりだったが、テロの神様と同じ立場に成り代わった今、そんな面倒なことしなくていいからね


そして完全服従した暁には晴れて操り人形の誕生という訳さ」


そこまで聞いて白命もようやく理解する

「完全服従」「操り人形」

その単語だけでもその計画がまともな者でないことは容易に想像できるだろう

そこまで聞き終えた白命は息を飲んだ

それを見ながらリストは話を進めた


「そして思い通りの世界にしたら

犯罪者の親族である教団の私たちを、見下した全ての存在を消し去る最終計画に移るのだ」


その言葉から、白命は完全にその計画の恐ろしさを悟りながらも、必死に声を上げた


「しかし、そんなにうまくいくのかな

たしかに僕は犯罪者を自殺に追い込んだけど、テロの簡易版である君たちの力ではそんな芸当は無理なはずだよ」


そんな時を聞いた教団の者たちは笑い出した


「わははは

面白いこと言うね。確かにそんな大それたこと僕らでは無理だろう


ただこう告げたらどうかな


〝今世界は悪しき心を持つリスト教団の一部によって、苦しめられている所が多く存在する


そこで私達教団は救済としてこれまでの過ちを償い清められる教えを説く


まず文明の発達で汚れた心を浄化するため、あらゆる文明を壊すのです


そして汚れきった魂を浄化するため死んで神に清めてもらうのです


その死に逆らった悪しき心を持つものを私たちは消し去りあなたたち全てが住みやすい世界にいたします〟


て感じにさ」


その話を聞き〝それってまさか…〟

その白命の思いを読んだようにリストが答えた


「そうこの計画は、教団の人のみ生き残れる楽園計画なんだよ

邪魔になる全てを殺す大義名分を持ったね

グハハハ」


その不気味な笑いの中で

白命は教団以外の全てを殺そうとするその

〝楽園計画〟に得体の知れない感情を覚えるのだった

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