第228話 バカにするな!!

「佐藤!トビー!イクー!プールの人!」

千歳が語りかけているが返事はない。


「メリシア!聞こえるか?」

クロウに接近しているメリシアに聞く。


「ダメです!聞こえません!」

くそっ、ダメか。



「離れろメリシア!俺がもう少し削ぎ落とす」

48本の剣でクロウの身体を切り刻む。


だが佐藤達は見つからない。


「くそっ!」

48本の剣を出す事は問題ではない。

ただ全てに自分がいる感覚で目が回る。

俺の頭が処理し切れていないんだ。


「ツネノリ!」

「キヨロスさん?」


次元球から声がする。


「剣を半分に減らせ!ツネノリじゃ脳がダメになる!」

「でも俺がやらないと…千歳が!その先に行けない!」


「はぁ…、またチトセ?まったく…少し見所があると思うとすぐコレだ」

キヨロスさんはため息交じりに呆れた声を出す。


「何!?またバカにして!!バカ王様!!」

千歳が髪を真っ赤にして怒っている。


「だってそうだろ?チトセの為にツネノリが無理をしている。

これじゃあ例え勝ててもツネノリがダメになる。

チトセはツネノリを使い潰して満足なの?」


「ぐぎぎぎぎ…、何で私ばかりを悪く言うかな?」

千歳は涙目で疑問をぶつける。


「当然だろ?チトセは人の身で神の領域に踏み込んでいて、神如き力で人より優れているんだ。できる人間がやるのは当たり前の事だ。

さっさと友達もアーティファクト・キャンセラーも見つけなよ」

「ムカつく!やるわよ!やってやるわよ!ついでにアンタの心も神如き力で丸裸にしてみんなにバラしてやる!」


「やれるといいね。僕はムラサキさんの力で神様にすら見つけられないんだよ。

チトセに何かが出来るなんて思わないよ」


「ぐぎぎぎぎ…ムカつくムカつくムカつくムカつく」

千歳は涙目を越して涙を出しているし赤い髪はあまりの怒りで放電してパチパチ音を立てている。


「ほら、やりなよ。

人間のツネノリにはここら辺が限界なんだよ。

無理させたらダメだろ?」


ん?

あれ?

先生だと思って素直に聞いていたのだが、これはまさか俺はバカにされているのか?


「キヨロスさん?」

「何?辛い?剣を減らしなよ。

ツネノリは減らしていいんだよ。

ほらチトセ!早くしなよツネノリが辛そうだ」


ああ、これはバカにされている。

格下に見られていると言う奴だ。

沸々と怒りが沸き上がってくる。


「「バカにするな!!」」


俺と千歳は同時に叫ぶ。


「やってやるわよ!

神如き力!聞く能力で佐藤達の声を拾ってやる!」


「何が無理だ!俺の限界はこんなもんじゃない!

行け!アーティファクトの剣達!!」



「佐藤達の声がしなければアーティファクト・キャンセラーの力を見つける!

神如き力!見る力でアーティファクト・キャンセラーの波を見つける!!」


「千歳が見つけられなければその分厚い肉を切り刻んで探しやすくする!!

行け!【アーティファクト】!!」


俺の剣がクロウの身体を斬り刻んでいく。

これで見つけやすくなればいいのだが…


「……聞こえた!佐藤達の声!

見えた!アーティファクト・キャンセラーだ!」


千歳がざまあみろと言った顔で喜ぶ。

目的が変わっている気もするが気にしない。



「ほら、2人で力を合わせたら出来たじゃないか。

何でツネノリはチトセに協力しないし、チトセも自分からもっと進まないかなぁ」



「うるさいバカ王様!指示を出すなら普通に出して!」

「俺も千歳も頑張っているんです!悪く言わないでください!!」



「ツネノリ!見つけたよ!クロウのみぞおちの下辺りに反応。掘り下げて!」

「了解だ!【アーティファクト】!」

俺の剣がクロウの胸を削る。


「メリシア!近づいて見てくれ!」

「はい!」

メリシアはクロウの胸に飛び乗って胸に近づく。


「聞こえます!ここにあると言ってくれています。

助からないから一思いにやってくれとも言っています!」

「了解だ離れてくれ!

千歳、行け!!」


「おっけー、イメージ…巨大な剣。頭から刺して大爆発をさせる。【アーティファクト】!」

千歳はそう言うとクロウの頭から胸くらいまでの巨大な剣を精製する。


「メリシアさん逃げてね!!行くよ!!」

そう言って上空に飛ばした剣をクロウの頭上から突き立てる。


「爆発!!【アーティファクト】!!」


その瞬間にクロウに刺した剣が大爆発を起こす。

クロウの胸から上は吹き飛んでいて光るアーティファクト・キャンセラーがむき出しになった。


「次行くよ!」

「次だと!?」


千歳は「うん」と言って笑った。

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