第187話 私どこかで何かを間違えたんだ。ジョマが怒っている。

「千歳どうした!?顔が青いぞ!!」

「マズい…、マズいよツネノリ。私どこかで何かを間違えたんだ。ジョマが怒っている」


「何!!?」


「………」

タツキアの空に映された実況のジョマが下を向いて黙っている。

その姿が私を恐怖に叩き落す。



「だから……罰を与えちゃうわ」

ジョマがそう言った瞬間に再度身体が光る。


「召喚の光!!」

あっという間に光に飲まれた私とツネノリはフナシ山の山頂に居た。


「はい!運営のジョマです!!ここには二日連続で逃げ切った特別枠のプレイヤー2人を呼びつけました!!」

ジョマはテンション高く話をしているが、その眼は怒っている。

怒っているのが私にはわかる。


「ジョマ?」

「…」

ジョマは返事をしない。


「千歳!」

ツネノリが私を庇うようにジョマと私の間に立つ。

だがジョマはその事にも反応をしない。


「辺りをご覧ください!!」

ジョマがそう言うと辺りが照らされる。


辺りには黒い悪魔が12体居た。


「この魔物は長期ログインをしていないプレイヤーデータに「悪魔のタマゴ」をつけたものです。

言い換えれば容赦のないNPCモンスターですね。

今からこの魔物に特別枠の2人をやっつけて貰おうと思います!!」


「くそっ、怒っているって?それにしてはやりすぎだ…、だが悪魔は12体だ…全力で倒すぞ!!」


そう言ってツネノリが剣を出す。

私も剣を出そうとした。


だがその瞬間、ジョマが別の動きをした。

ジョマの目の前にはジョマの胸くらいの大きさの水晶玉が現れた…


もしやあれは…!?

「本当にヤバい奴だ!!ツネノリ動かないで!!私の傍に居て!イメージ!!次元球を探す!!」


「させない」

そう言ったジョマの声が私にだけ聞こえた。



「皆さん!昨日までのアンケートで多数あった特別枠、ベテラン枠の特殊能力を何とかしろとのご意見を私達改革派は取り入れました!!これはその特殊能力を使用不可能にする運営アイテムです。今から特殊な力を封じて特別枠の2人には12体の魔物と戦って貰いましょう!!」


やっぱりだ!あれはコピーハウスで読んだゼロガーデンの歴史にあったアーティファクト・キャンセラー、ジョマ…明日の目玉はそれだったんだ…特殊能力のない状況でのレイドバトル…


それを怒ってここで出してきた。


速く瞬間移動をしなきゃ!!


「アーティファクト・キャンセラー発動」


ジョマがそう言った瞬間、真っ赤な影が私達を抱きかかえて瞬間移動をしてくれた。

後から遅れてキィンと言う音が聞こえた。

これでアーティファクトが使用不能にされた。


今から最終日まで、どうやって戦えばいいのだろう?

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