第129話 後は俺の機動力にかかっている訳だな。

俺はギガントダイルを切り裂いた時の振動する剣で悪魔に斬り込む。

悪魔の身体はとても硬いがこの剣であれば容易に斬ることが出来た。


5分とかからずに悪魔を斬り伏せて保護した子供をホテルまで連れて行くことにした。


子供は放心状態だったが跳躍で屋根より高く跳び風のように走ると少しだけ話をしてくれた。

親は商店で働くスタッフなので今日は子供とは一緒に居られず、子供は祖父と一緒に祖父の家に居たらしい。


そこを悪魔に襲われて近所の人共々祖父は殺されてしまったと言う。


「アイツら、民家の中にも入るのか…」


子供は「お爺ちゃん」と言って泣いてしまう。

生き返らせる話をすべきかと思ったがぬか喜びになってもよくないので黙っておいた。


ホテルのスタッフに子供を任せた俺は千歳の元に戻る。


「お帰り」

「ああ」


「あの光の玉は?」

「あれが私の12本の剣だよ。私の力だと12本も剣も無理で大きさも拳大の玉だし数も無理して5個なんだ」


「5個?」

「うん、街の四隅に一個ずつ。街を監視するの。残りはツネノリの横で悪魔が出現したら指示を出す為」


「無理をしているのなら数を減らせないのか?」

「それはダメ。

数を減らすと街をカバー出来なくなるもの。

でも大丈夫。疲れ過ぎない為にも玉の大きさは小さくしているから…ってツネノリ、街の奥、さっきの反対側に一体出たよ!斬り伏せてきて!」


「ああ、後は俺の機動力にかかっている訳だな。行ってくる!」


俺の横にいる千歳の玉がナビゲートをしてくれるので最短で進む事が出来る。

俺が着いた時には千歳の放った玉が時間稼ぎをしてくれていたお陰で建物は壊れていたが死傷者は居なかった。

俺はこの悪魔もあっという間に斬り伏せる。

このペースで行けば死傷者は最低限で済む。

残り16体…

途中、千歳から「街の反対側に二体!それはプレイヤーが倒すからツネノリは少し休んで!」と連絡が入る。

この玉は一つあるだけでかなり便利だと思った。


そう思った時に千歳から「ごめん、私のところに二体来た!戻って!玉を出しているから武器が出せないの!」と連絡が入る。

俺は千歳の元に急行して悪魔を斬り伏せる。


「千歳、お前はホテルに居るんだ。ホテルからでも玉は出せるだろう?」

「うん…」


俺は歯切れの悪い千歳を抱きかかえてホテルまで連れて行く。

「ちょっと!」

「逆に聞く、ホテルに行く事の何が問題だ?」


「いざとなった時に戦えない事と街の真ん中を見守れない事、後はホテルを狙われた時だよ、周りには守るべき人が多過ぎる!」


「わかった!」

「え?」


俺は近くに居たプレイヤーに「今のままじゃジリ貧になる!何人かで固まって行動してくれ!街の真ん中とスタッフの多くいる商店やホテル近辺、後は街の四隅に分かれて待機するんだ!他のプレイヤーにも声をかけてくれ!」と伝える。

その後も同じ事を繰り返し伝える。



「千歳、街の状況はどうだ?」

「うん…そこそこ集まってる。これなら守れるし集まった中から悪魔が発生しても対処できると思う」


俺は「だから安心しろ」とホテルに千歳を置いて外に出る。


「千歳、状況は?」

「残りは10体、さっき二体出たけど倒せたよ。

!!?

マズい!路地裏で固まってた5人組の中から三体悪魔化した!2人は一瞬で倒されたよ!」

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