‪きみの世界‬‬‬‬



この地球上のすべてのことを、正しく知ることができたら、ぼくはようやく自分の足の裏全部で、しっかり立てるんじゃないかと思うんだ。きみは良く言えば謙虚で、悪く言えば自己肯定感が低かった。地球上のすべてがきみの世界に含まれているだなんて、きみの世界はいつのまにそんなに大きくなってしまったんだろう。地球中がより身近になって、個人の世界がぐんと広がるこの時代に、ぼくはきみの世界が、もっと狭くなりますように、と祈っている。それは例えば、偶然目にした流れ星に願うような、七夕の短冊に笑って書く願いのような、小さな祈りだ。叶いますように、と祈りながら、叶わなくていい、とも思っている。きみの世界が狭くありますように。きみの世界が広くありますように。きみの世界が、きみ自身を押しつぶしてしまわないだけの、小さな世界でありますように。きみの世界が、きみ自身を支えて立たせるほどの、大きな世界でありますように。‬‬‬‬


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る