春
みんな待ってる。春はやさしさとか、あたたかさとか、良いものの象徴で、冬のあとには必ず春がくるんだよって、だれかが言っていた。春はあのこにとって喜びの季節で、あのこにとって苦しみの季節で、あのこにとって癒しの季節で、あのこにとって悲しみの季節だった。春には永遠が込められているから、春がきたら、終わりきらないうちに夏がきて、秋がきて、冬がきて、そうしてまた春がくる。去年と同じ季節、けれど去年とはちがう春。生きているっているのは、そういうことだよ。
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