プレゼント



世間の異常がきみにとっての普通だった

そんな世界にきみは生まれた

愛の意味も涙の意味も知らなかった

笑うことは他人と自分を騙す術だった


それでも生きる途中

きみのために涙を流してくれた人がいて

暗い世界から連れ出してくれた人がいて

笑ってきみを受け入れてくれた人がいて

きみが生まれた日を全力で祝う人がいて

きみにとってはこれっぽっちも大事じゃない

きみのことを大事だという人たちがいた


そうして生きる途中

きみは自分を盾にすることで彼を守って

きみは傷つけられた彼女のために怒って

きみはひとりぼっちの少年の手を握って

きみはいつでも人を愛する方法を探した

生きる悲しみも生きる喜びも知るきみが

幸せだと言って笑う 幸せだと言って泣く


気づいているかい

きみがいろんな人に救われてきた分だけ

きみもいろんな人をその優しさで救ってきた

今のきみの幸せは

過去のきみが未来のきみに繋げてくれたもの


生まれてきてくれてありがとう

今日まで生きてきてくれてありがとう

信じていいよ

きみは幸せになるために生まれてきた


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