スマイルズの著書から見る、成功者の傾向


 スマイルズの著書である『西国立志編』をご存じであろうか。


 この著書は『自助論』の訳書であり、明治時代の青年たちに非常に大きな影響を与えた啓蒙書けいもうしょである。


 ちなみに筆者も所持しており、何度も読み直したほどに愛読している。今後も、つらいことがあったり気分が落ちた時は、きっと読み返すであろう書物である。


 そんな西国立志編だが、これがどんな著書かというと、かいつまんで説明すれば、西欧の歴史上の人物の成功談を枚挙し、読者を鼓舞するような内容の著書だ。


 さて、ここで筆者が気になったことがある。


 それは何かというと、スマイルズが枚挙した成功者の人たちの境遇だ。


 つまり、成功者は元から富裕層だったのか、貧困層だったのか。


 そんなわけで読み直すついでに調べてみることにした。


 筆者が所持している自助論に出てくる成功者の数、二六六人。


 そのうち、富裕層の子供だった者、十六人。


 そして、残りの二五〇人は、貧困層の子供だったのである。


 国乱れて忠臣現る、ということでもないだろうが、ともかく、何事もハングリー精神というものがどれだけ大事かという証左のような気がしてならない。

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