明の太祖・洪武帝の気まぐれ


 明の太祖・洪武帝は中国史上、最もひどい暴君とされている。

 その最たる理由は、洪武帝が気まぐれでおこなう処刑にあった。

 しかも、もっともらしい理由をつけて部下を呼びつけて、突然その場で処刑を言い渡すから非常にタチが悪い。

 やれ、税金の徴収について話を聞きたいだの、今度の治水工事のあんばいはどうだなど、そういう理由をつけて呼びつけられれば、部下も行かないとはいえぬ。

 そして処刑のカモフラージュとして使用される用事で、ぶっちぎりに多かった理由が、儀式をおこなうから即刻出頭せよという名目。

 なので、洪武帝からそういう理由で呼びつけられた部下は、決死の覚悟で家を出て、無事に帰ってこれた際には、家族全員で涙ながらに抱き合って喜んでいたという始末。

 気まぐれで人の命を左右していた洪武帝は、自分が神にでもなったつもりだったのかもしれない。

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