入試
大学入学共通テストの歴史 ~共通一次、センター試験とどう変化してきたか~
毎年50万人以上が受ける一大試験、大学入学共通テスト。センター試験に代わり2021年から始まりました。
入試形式は時代で少しずつ変化しています。今の受験生や高校生に対する誤解を防ぐ・理解を広げるためにも、変化とその理由を知っておくことは大切です。
1.共通一次試験
統一試験ができる以前は、各大学で行う試験のみで入学者を決めていました。しかし、1965年頃から18歳人口の急増により受験競争が激化し、63年から実施されていた高校の学習指導要領を無視する「難問・奇問」の出題が問題となっていました。受験に意味ないからと指導要領を無視とされると、基準を設けた意味がなくなります。そこで、「高校における一般的・基礎的な学習の達成度を共通尺度で評価するため」の共通一次試験+独自性を尊重する二次試験の2段階が構想されました。
こうして1979年に全ての国公立大学受験者を対象とする「共通第 1 次学力試験」が始まりました。5教科利用を原則として、第1回は33万人が受験しました。こうして大学入試は、高校で学ぶべき内容全般をある程度反映するものとなりました。
2.センター試験
しかし、共通一次試験には、日本で国公立大学より学校・学生数が多い私立大学は(ほぼ)対象でないこと、推薦入試など多様な入試形態に対応し辛いことなどの課題もありました。
そこで、私立大も参加可能とし、国公立大含めて使用する教科・科目を各大学・学部に任せるアラカルト方式とした「大学入試センター試験」となりました。1科目のみ受験から可能で、私立大では2~3科目利用が主体となっています。
1990年の第1回センター試験は受験者41万人、利用私立大は16校でしたが、2017年には受験者58万人、私立大は526校(私立大の91%)が利用しました。2006年の英語リスニング導入や細かい科目の変更などはありながらも、基本的な形式は維持され大学入試といえばセンター+個別試験という形が定着しました。
3.共通テスト
それでは、2021年から始まった「大学入学共通テスト」は何が違うのでしょうか。現状、リスニング配点増加や数学の問題量増加など教科・科目の内容形式が変化しただけで、基本的な制度はセンター試験と同じです。「思考力・判断力・表現力」を重視するとして内容面の変化はありますが、正直、そこまでの変化はありません。
共通テスト実施に向けた議論では、記述式問題の導入と英語民間試験の活用が大きな争点となっていました。「思考力・判断力・表現力」を問うのが主な目的でしたが、大規模に行うコストや実施可能性、目的は個別試験が担っている点などから実施されていません。他、コンピュータ回答(CBT)や年複数の受験機会なども検討には挙がりましたが、現時点で見通しは立っていません。
ただ、2025年試験からは教科として「情報」が追加され、国立大学は6教科8科目を原則とする方針が出されています。長年維持された英国社理数という枠組みの牙城が崩れるだけでも、大きな転換点に成り得ます。英国社理数は、人々にも勉強とはこういうものだと認識が固定化されているので、ちょっと打破してくれる期待感を個人的には持っています。
過去の試験を受けた方は、どうしても現在や未来の枠組みに戸惑うかもしれません。変化の是非は置いても、変化している部分としていない部分があることは受け止める必要があります。
(本文おわり。参考文献の詳細は以下URLに記載)
https://note.com/gakumarui/n/n596e50364e9a
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