文房具(鉛筆・シャーペン)
鉛筆の教育学1 シャーペン禁止に疑問を持つことは当然
小学校の「謎ルール」としてよくあげられる「シャーペンの禁止」。大多数の学校は、児童がシャープペンシルを使うことを禁止しているようです。
原則的には、学習および筆記の道具として適しているかどうか、ということが判断基準になるでしょう。私個人は、ある程度妥当性のある決まりと考えています。しかし、多くの人に「謎」として受け取られているのは、学校側から合理的な理由の説明がない(あるいは、あったとしても子ども側にあまり伝わっていない)ことが少なくないと思われます。
学校によっては、禁止事項だけでなく、鉛筆の濃さや柄、定規の長さ、筆箱のタイプなど細かい指定があるところもあります。そのわずらわしさも不信感につながる一要因かもしれません。
学校生活を送る児童にとって最も長く接する自分の道具である筆記具、この筆記具に関する決まりに疑問を持つことは当然です。
疑問を持つことを「決まりを破ろうとする消極的な態度」と捉えるのは間違いで、決まりのある理由や生まれた経緯を考える、その上で納得したり改善の提案を出したりする、あるいはそれを用いて他の人に説明するといった、「決まり」を扱うことを学ぶ上で身近なテーマになり得ます。重要な考える力となるでしょう。
場合によって、決まりを与える側が全然理由を考えていなかったり、「大した理由などなかった」「前例踏襲なだけであった」という不都合な事実にあたることもあったりするので、理由や経緯を探ることや、全体的な傾向など広く事実を知ることはあまり好まれません。しかし、そのような決まりであれば見直されるべきです。
「なぜこれを使うのか」物事の理由を考えるのに一番身近な素材、えんぴつ。しかし、なぜ鉛筆か、なぜシャーペン禁止かなどということを整理した公的文章は存在しません。
次回から、鉛筆使用やシャーペン禁止の決まりがある理由・経緯をできるだけ丁寧に解説したいと思います。学校教育の中の「決まり」というものを考えるきっかけに少しでもなれば幸いです。
(第2章につづく)
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