【深海のビール】

 疲れたという言葉がふさわしい

 荒れた肌と

 怒涛の仕事に流されている

 

 部屋に帰りジャケットを脱げば

 そのままビールのプルトップを開けて

 ストッキングをだらしなく放り出し

 

 見る予定もないテレビをつけたら

 空白の胃袋に

 アルコールを流し込む


 疲れた時は料理なんかしない

 食べ物なんかいらない


 23時もまわれば

 普通の事件すらも禍々しく

 無責任にも

 何もかも運のせいにしたくなる


 あるがままを受け入れ

 バスタブでお湯に埋もれ泣いた自分を

 あっさり過去にも出来ないまま

 

 時間が解決してくれる

 いつかきっと笑える日が来る


 深海のように暗い夜は

 当分去ってはくれないだろうけど



 <お題:運>

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る