わかってるよ……
「まずは六実が落ち着け!」
一刻も早く情報が欲しいと思った俺は焦るなと言いながら焦っている六実に怒鳴った。
「う、うん…… でもどうしたら……」
「まずは一度でも家に帰っているかどうかわかるか?」
「う、うん! 見た感じ制服とカバンが置いてあったから帰ってきてはいると思う!」
「そうか……」
そうなると未来がいなくなった理由が絞られる。
まず買い物に行った、とかの場合だがおそらくそれはありえない。 いつも未来は家のことを最優先に考えているから買い物などは学校帰りに全て済ませている。
だとすると……
「六実! ほかに手掛かりになりそうなものとか部屋の状況が変とかはないか?」
「特に変わったものはないし、部屋もきれいなままだよ!」
なら、強盗とかはないだろうな。 それに怪しい人がいれば佐藤さんや六実が気づくだろう。
あ! 手掛かりになることが
「雄二! チャリを貸せ!」
「おうよ!」
俺は自転車に飛び乗り一直線に家に向かう。
六実に電話越しで話してもきっとらちが明かないだろうしな。
「いったん切るが六実はそのまま怪しいものがないか探していてくれ!」
「うん! 紗月は何かわかったの!?」
「ああ! 少しでも手掛かりになりそうなことに心当たりがある」
「わかった!」
ブツッ
電話が切れたと同時に俺はギアを上げる。 荷物運びの件で体が悲鳴を上げているがそんなことは関係ない。
俺の体がどうなろうと未来に代えられない。
「はあ、はあ。 六実!」
マンションに着き、階段で駆け上がり俺は扉を開けた。
「ちょっと大丈夫!? フラフラじゃん!」
「大丈夫だ! それより何か見つかったか!?」
「う、うん! 紗月の部屋の机の上にこれが……」
六実が差し出したのは手紙だった。
俺は手掛かりを探すためにパソコンを立ち上げながら手紙を読む。
つっくんへ
突然いなくなってすみません。
私は本当にこの家にいていいのか分からなくなりました。
なのでしばらくの間、考える時間をください。
探さないでくれるとありがたいです。
未来より
「ッ! ふざけんなよ! 一体だれが家にいてほしくない奴と同居するっていうんだよ!」
「紗月……」
「わかってるさ……」
こんなことを言っていてもどうにもならないことくらい俺にだってわかる。
さっさと未来を見つけて説教をしなければ。
俺はパソコンから監視カメラの映像を確認する。 六実のいたずらのためだけに買ったカメラではあったがまさかこんなところで役に立つとはな……
「いた! 止めて紗月!」
「時間帯は…… 五時過ぎだ!」
俺と六実は同時に部屋にある時計を見る。 今は六時半だった。
一時間半か…… 最悪駅に行けば他の町へも行けるな……
「一気に範囲が広がっちゃったね……」
「クソッ! 考えろ俺! 未来が行きそうなところは……」
プルルルルルル
こんな時に誰だよ! と思いつつ発信者を確認してみる。
発信元は…… 未来からだって!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます