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朝露の霧は、葉脈の甘い息に混ぜた池の上に浮いていた。底の見えない泥へ沈む魚たち。ドクダミの匂いが透明なエビの声を陸へあげる。そしてベンチの錆びた公園の中に、ボートは裏返しに横たえる。腐葉土を腹に当てたままに、エンジンを分解した冬の爪先へ恨みをあげて横たえる。夜まで続くその姿に、恐怖を感じたエビは池の中へ逃げ込んだ。ドクダミの残された遊歩道に、カラスの子を食べようとする猫しか近寄らないことは、10年の時間が証明した。
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