大河

伊藤 経

大河

 


 雲の薄くかかった月。

 ジンワリと滲んだ光が霜の様に降り積もるアスファルト。

 不意に水音が私の耳を行き過ぎる。

ザワザワ……

 香ばしいお湯の匂いが雲をどこかに追いやった。


 月が光を放つのだ。

 光がアスファルトに突き刺さる。

 アスファルトの下には河があった。

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