第44話 暇を持て余した神々の...遊び
「暇だなぁ...」
あたしはボソっと呟いた。
担当に選ばれてから今日まで、あたしは毎日世界の調整を行っている。
神界でも指折りのルーキーであるあたしと成り立ちからとても安定しているこの世界。
この二つが揃ったら何が起こると思う?
そう...暇。
毎日世界のどこかで異変が無いかチェックして、それが世界の理から外れて居れば神の力を使い修復したり改善したりするのがあたしの仕事だ。
じゃあ暇なんか無いだろうって?
それが困ったことに暇だらけなのだ。
あたしは優秀過ぎた。
世界の気候設定から種族の発生の配置、全ての初期調整は担当の神の仕事だ。
どの神もより良い世界を発展させようと考えて初期設定を終える、そして世界を管理していくのだがその過程で現れるのが
魔素だまりが濃くなり過ぎて魔王やそれに準ずる者が現れたり世界そのものを壊すほどの力を使った戦争が起こったり。
そうなってしまっても一度動き出してしまった世界にはあまりにも直接的な介入をするのは神界の法で禁止されている、リセットボタンを押すような真似は許されていないのだ。
なので神々は軽微な調整でそれを正していく、所謂バタフライエフェクトを駆使するわけだ。
そしてその最たる例がアレ、異世界勇者である。
介入としては異世界人を一人召喚するだけ、ギリギリセーフの介入として認められる。
なので神々は今までのツケを一気に払おうと頑張っちゃうのだ。
最大限の加護を与えたりとんでもない武器を持たせたり才能に溢れさせたり。
所謂チート能力ってやつね。
異世界から自分の世界に来るまではノーカンというプロレスの5秒ルールのような隙を突いて能力マシマシの人間兵器に仕立て上げるわけだ。
さてあたしの担当世界だけど...。
あたしは頑張った!先輩の作った世界、成功した世界、失敗した世界、研究に研究を重ねた!
あまりに急速な発展は歪みを生む、最適な発展速度も見出し完璧な配置!
そして出来上がったこの世界は...あまりにも手がかからなすぎる。
結果ここ300年ほど世界を観察しては特にすることも無いという
もちろん個体の生き死に、種族や国の小競り合いはあるのだがそこにいちいち神が介入するのはお門違い、そう言うちょっとした事まであたしが決めてしまえばそれはもう世界ではなくただのあたしの妄想と変わらない。
結果、あたしは暇なのだ。
このままこの世界の終局までただただ観察するだけがあたしの仕事となるだろう。
そう思っていた時期があたしにもありました。
来たよキタキタ
人助けすれば殺されかけて夢で会ってみたら性欲処理を頼んでくる。
スケベなくせに紳士でお人好しの癖に怒るとヤバイ毛利洋一!
こんなのずっと見ちゃうでしょ?
今は人攫いから女の子を助けて休憩中かー、チート無しなのによくやるわねー。
ちなみにずっと洋一を見てても世界の管理には支障はない。
あたしの人格を共有している分け身、所謂天使が世界の観察を常にしているから。
安定し過ぎている世界は観察だけで十分なのだ。
かく言う今も天使の一体を使って洋一達を観察しているのだ。
そうして見ているうちにあたしは気付いて思わず言葉が出た。
「あら?あの娘死ぬわね」
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