死神は空から落ちてくる

 アスラ聖国の首都ジェフその王城ミーティの城の元見張り台


 現在は取り壊し予定のため修繕がされていないのでこの前の戦争の傷跡が至る所に残っている。


 まぁほとんどはこの前戦争した時に聖獣がここに落ちて付いた傷なんだけどね。


 でも本当にすごかったな、まさか俺の全力を耐えるとは思わなかった。


 でもそれも一回だけだ。城に落ちた聖獣目掛けて放った二発目は聖獣もろともこの城の中心部分を吹き飛ばして消し飛んだ。


 まだ原型が残っていたこの城にもビックリしたけど今はこの作戦を実行するための基地になっているから感謝しなくちゃな


『現在敵の姿は見当たりません』


「わかった。引き続き捜索を続行してくれ」


 俺は念話を切って近くの魔晶から水を取り出してコップに注ぐ。それを飲み干して窓から外の様子をみる。


 敵は転移で俺の所に転移しようとしたようだが結界に弾かれたらしくあの町のどこかに転移したらしい。


 敵の内二人は発見して攻撃を行ったが攻撃後の安否は不明だ。


 攻撃後の確認が行いやすいように火属性魔法から氷属性魔法に変更したのだが、どうしても俺の力だと広範囲を攻撃してしまうから確認にタイムラグが起きてしまう。


 そのせいであいつらの確認が遅れて敵を逃がしてしまった。


 現在も近くを上空から重点的に探しているが未だに見つかっていない


 屋内も探しているが発見の報告が見つからないのが少し気になる。


 だが発見も時間の問題だ。もし発見されなかったとしても何発か打ち込めば出てくるだろうから、そうなったら残りは魔導士団に戦わせて終わりだ。


 本当は探知魔法で魔力を元に探し出して、絶えず攻撃をし続けて殲滅する予定だったけどなぜかこの都市に反応が出ないかったんだよなぁ・・・俺達を殺すとか言っていたから強い魔法を使える敵が来ると思ったのにまさか、魔法を使ってこないとは・・・せっかく対魔法使い用のトラップを仕掛けておいたのに全くの無駄になってしまった。これ結構準備とか時間かかったのにこれじゃあ設置損だ。


 ・・・いやこれはこれで魔法使い以外にも対応するトラップを作ればいいか帰ったら考えることにしよう

さてと早く戦いを終わらせて、魔晶の試験運転の続きをしなくてはいけないのに

大気中に漂っている魔力を吸って魔法に変換して発動することが出来るこれがあれば魔法の才能が無くても使うことができ、水に関しては飢えが完全に無くなる。早く交易して世界中に広めたいのにまさかこんなタイミングに敵がくるとは、俺って何てついてないんだろう。ああ早く帰ってクレアといちゃいちゃしたいなぁ


 俺は窓から外を見ながらもう一度魔晶から水を生み出しコップに注ぐ


 そしてその水を飲もうとした時に念話が飛んできた


「どうした?」


『第2部隊です。目標発見しました』


「了解っと。『サーチ』」


 俺は索敵魔法を発動して報告した部隊を探す。


 索敵魔法は基本的に敵の発見に使われることが多いが使い方を変えれば味方の位置の確認にも使うことができる。無論魔法が使えない物にはあまり意味がないが、魔導士団は魔法が使えないと入れないから索敵に引っ掛からないわけがない


「『ロングアイ』」


 魔力から魔導士団の居場所を確認した後に遠見の魔法を発動させて部隊の近くを見る。


 確かにこっちに走っている人影が見える。


 ここは戦争の時に俺の放った魔法でお城の中心から近くなればなるほど爆風で建物が吹き飛んでいるので隠れられる場所がほとんどない、だからここに行くためには走るか転移するしかないが転移に関しては結界で封じてあるからこうして走ってくる必要がない


 そしてノコノコと走ってきたら


「『ダウンバースト』」


 俺も魔法で攻撃する。実は本当は炎を叩きつけるのが本来の攻撃なのだが、この攻撃をすると辺り一帯が炎の海になってしまい死体の確認をすぐに確認できなかったから氷を叩きつける攻撃に変更したんだけど、それでも冷気が強すぎて距離が近すぎると魔導士団でも器官が凍ってしまって危険なんだけど炎よりは危険ではないからそのままにしてある。


 上空で冷やされた空気が地面に向かって降りてくる。それを見た直後に人影が向きを変えて反対方向に走り出すそう思っていた。


 人影は方向を変えずにダウンバーストの落下地点目指して一直線に走り続けている。


 そしてダウンバーストが地面にぶつかって敵目掛けて襲い掛かってくる。人影はそのまま冷気に飲み込まれてしまい見えなくなってしまう


「・・・は?」


 ダウンバーストで発生した風がここにも届き涼しい風が髪を揺らす。


 あっけなく飲み込まれてしまったことにいささか拍子抜けしてしまったが、それでも敵を倒せたことに安堵する。いや見えた人影は三人、他にも仲間がいるかもしれない


「第二魔導士部隊に連絡、敵の生死を確認後他の部隊と合流して残りの敵を捜索せよ」


 そう指示をして飲み損ねていた水を飲む。これで少しは安心できる。


『ウルト様』


「見つかったか?」


そうこうしていると第二魔導部隊からの報告が来た。


『見つかりません』


「なに?」


『先ほどダウンバーストの中に走っていた人影が見当たりません』


「何だと?!」


 まさか生き延びていたのか!?いやそれよりも城内に入ってきている?


 いや、万が一生き延びたとしてもこの城に入るための出入り口は全て閉じている。空を飛ばない限りは入ってこれない、だとすると近くに潜伏しているはずだ。


 俺は急いで全七部隊の内の五部隊に念話をつなげる。


「第三~第六魔導士部隊に連絡、第二魔導士団と連携してこちらに向かってきた敵を捜索せよ」


 そう指示をして念話をきる。


 仮にもし防いでいたとしても、あの攻撃を食らって無事でいられるはずがない。もう一度同じ攻撃を撃ち込めばいいが、ここは冷静に魔導士団が発見してからもう一度確実に撃ち込む


 そうすれば確実に攻撃できる。


 自分の考えを繰り返してミスが無いか確認してもう一度水を飲もうと魔晶に近づこうとした。


 するとドゴォ!!という爆発音とともに突然天井が爆発した


「なんだ?!」


 爆風で前が見えないが前方から三つ何かが落ちた音がした。


 俺はせき込みながら風魔法を詠唱して上から降ってくる煙と埃を払う


「ウルト=オルガスト その命『ソ』の元に返してもらう」


 そう言って煙が晴れて目の前に銃を構えた女性と、剣と銃を構えた男そして、銃を背負い刀の切っ先をこちらに向けた女性が少し凍った上着をはためかせて目の前にいた。

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