隊長の場合
「・・・ッ!」
何かに弾かれる感覚がし転移が終わると後ろに吹き飛ばされている途中だったので咄嗟に受け身を取って着地をする。
幸いに壁に刺さったりすることにならなかったのでよかったといえる。
さて、立ち上がって周りを見回すが、辺りにユッカ達の人影は無くあるのは廃墟ばかりだ
「・・・皆?」
転移を弾かれたときにそれぞれ別の場所に転移したのだろうか。通信して安否を確かめたいが向こうは転移者、いきなり魔法を知った転移者と違い生まれた時から魔法に関わり続けた魔法のエキスパートに転生前の知識と神の加護を持っているトンデモだ。盗聴魔法や通信機などを開発している可能性があるから、むやみな通信は自分やユッカ達の首を絞めることになるからやめておこう。ここはユッカ達が無事だと信じることにしよう。
転移が結界の様なものによって阻まれてここに転移したようだが、ここはどのあたりだ?
本来の転移先であった城が見えるから、よほど遠くには転移していないようだな
さてどうしたものか、とりあえず皆と合流したいな。しかし合流地点を言ってなかったし、するつもりもなかった。
これは完全に誤算であった。何で考えなかったんだろうか。・・・と言うかいつも私はそうだ、完璧と言っておきながら穴だらけ、隊長と言う現在の地位にも似合っているものではないとも感じている。私の意味とは何なんだろうか。
・・・・よそう、これ以上いくと不味い今は他の皆がいないんだ。ここで駄目になっていしまったら、本当に駄目になってしまう
深呼吸して今の感情を抑え込んで考えなおす。
まずは他の皆との合流が第一目標にしよう
ここで私一人が転生者に突貫したところで転生者と違い負ける可能性が高いから誰かと合流してから向かいたいな
できればユッカならいいが他の皆も一人になっているならアイビーと合流した方がいいが、皆がどこにいるのか皆目見当がつかないのが現状だがとりあえず探そう
一応の目標を決めて私は歩き出す。まずはここから城を中心とした反時計回りに歩くとするが大通りは通らずに狭い裏路地を歩いていく。転生者達は空を飛ぶ魔法をよく使っているから大通りを歩くよりも狭い路地を行けば見つかりにくいからな。転移者ですら空を飛んだりするのに魔法使いの中でもトンデモな転生者が使えないわけがないだろうし、まずは上空からの索敵をして発見次第上空から一方的に攻撃して戦うのが一般的な転生者の戦い方だからな。狭い路地を行くのは間違ってはいないはず、ただもし発見されて攻撃されると一方的に攻撃されてしまうので、素早く動ける人でないと少し危険だから二人以上でここを通るのはオススメできないな。
そうしてしばらく反時計回りに歩いていると城の近くに雲から糸のような物が降りてきた。
「あれは・・・」
結構似たような現象はいくつかあるから断定が出来ないが見た所ダウンバーストに似ていると感じるが・・・
もしダウンバーストならこのまま屋外にいると強風に体持ってかれるから屋内に避難することにしたいが、近くの家という家が半壊しているので下手な所に入ると建物が崩れて押しつぶされそうで怖いな
でもただ外に突っ立っているよりかはマシか
次第に辺りも冷えてきて風も出てきて少しずつ強くなっている。
「これ以上は考えられないな」
比較的損傷の少ない家に入って窓を閉めて壁に糸のようなものが見えた場所から一番遠い部屋の壁に寄りかかって銃を掲げてヘルメット代わりにしてみる。
部屋の中はかつて住んでいた住民の使っていたであろう物がそのまま残っている。
しばらくすると何かがぶつかったような音がして家全体が軋み始める。玄関の方で木の扉が派手に壊れたような音がして、私のいる部屋の扉を叩く、ドアの隙間から冷たい風が入り込み私の所に吹いてくる。
多分ダウンバーストが発生して強風が作られてこの家にぶつかったのだろう。玄関のドアが壊れてしまったが、一番力の強い最初を耐えられたのなら多分このまま持つだろう。
しばらくの間、風がドアを叩き上から何かが剥がれる音と共に埃が降ってきたりしたが、少しづつ音は小さくなっていきやがて音がしなくなった。
私は立ち上がり扉を開けると寒い空気が部屋に流れ込んだ。
「・・・さっむ」
私はジャンバーの下にある飛行装置に触る起動してなくても動力は常に動き続けているから、ほんのりと温かい
よく見ると床の木材に少し霜が降りている。この家を出る前に何か使えそうなものがないか物色してみたが特に見つからなかった。唯一と言えばこの家に水道が通っていたくらいだろう。この世界は結構発展している世界なのだろう、蛇口を捻れば少しだったが水が出たので少し入れ物に入れておいた。
外に出てみると家に入る前とは景色がまるで違っていた。強風に寄り屋根や窓が吹き飛んでいて半壊だった家が全壊になっているところもある。よほど強かったのだろう。先ほどいた家の方を見てみると屋根が無くなっている。
こんなことがタイミングよく自然に起きるなんて考えられない。まず転生者の仕業と考えていいだろう
多分だが上空にあらかじめ冷たい空気を魔法で作っておき下降気流で強引に地上に叩きつけていると言ったところか。あの厚い雲も上空の冷気を隠したり太陽光で温まって冷気が霧散するのを防ぐためと考えると少し感心する。
しかし攻撃を行っていると言うことは誰かがいるということになる。つまりユッカ達の内の誰かがそこにいる可能性が高い。高いのだが・・・
いや、やめよう生きていると信じる、そう決めたじゃないか、嫌な方向に考えるな私
「よし」
頭を振って余計な考えを振り落としてから、私は先ほど攻撃された場所に向かって走り出す。
『隊長』
走り出してしばらくするとインカムから声が聞こえる
「ナギか?」
『そうです。今はバロックさんとセラさんといます』
「そうか先ほどの攻撃はナギ達が狙われたのか?」
『いえ』
それならなら攻撃されたのはアイビーかユッカもしくはその両方かその他か・・・
「なるほど、私はこれから先ほどの攻撃が放たれたところにいく」
現在の敵が何処にいるかわからない以上私達が無駄に動いて被害を増やすのは好ましくない。また今の所全員が同じ所に集まってあの攻撃に巻き込まれたらひとたまりもない。あまりいい手でもないが攻撃が来た場合に被害を分散させた方がいいだろう
『了解しました。私達はどうしますか?』
「そのことだが、少し思いついたことがある」
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