103.大晦日の挨拶
今年も気付けば最終日である。去年は新宿の喫煙所で煙草片手に書いていたが、今年は暖かい炬燵の中だ。何故なら仕事がないからである。前に全く仕事が無かったのはいつだったか確認したら、会社に入った年だった。ガッデム。
今年は二十万文字くらい書いたと思う。その半分は新しく書き始めた「十三月のメーデー」であるが、これはTwitterのフォロワーさん二人と某診断結果で盛り上がった挙句に作ったもので、なんだか瞬く間に十万文字に達していた。
これは何故かと言うと、「正のサイクル」が作られているからである。数千文字書く→二人に見てもらう→褒めてもらう→嬉しくなるのでさらに書く、というサイクルが出来上がっているので、平素の孤独による甘え、所謂「私なんかが書かなくても世界は回るし」というサボりが無くなるのだ。これは凄い。初めての体験である。お付き合い頂いている二人には感謝しかない。
お陰様でエッセイの方があまり進まなかったのだが、これは書いちゃいけない内部的事情に絡むことばかり起きていたためだ。当たり障りのないことを書いたって仕方ないので、自ずと回数が減る。
ところで前に書いたかもしれないが去年あたりに部署が変わっている。現場作業をする部署から開発部署に配属変えされている。なのに、なぜか現場作業の仕事が無くならないものだから、とてもややこしいことになっていた。具体的に言えば会社が「淡島専用の作業工数表」を作っていたくらい。他の人と一緒にすると計算が狂うとか、そんな理由。
だが先日のこと、上長が遂に言った。
「来年から現場は辞めましょう。一応今も開発部のリーダーなんですし」
「あ、辞めるんですね」
「入社した頃からずっと現場だったから、思うところはあるでしょうが」
「いえ、別に何の思い入れもないので」
上長はびっくりした顔をしていた。生憎、仕事にやり甲斐や生き甲斐は求めない。
「でも急に辞めるわけにはいかないので、次の仕事で終わりにしたいなと」
「なるほど、それもそうですね。で、次の仕事と言うのは?」
二つの病院の名前が告げられた。どちらもそこそこの規模である。
なんで次って言ったのに二個出てきたのか。嫌な予感がした私は怖々と訊ねた。
「稼働日は?」
「どちらも同じ日です」
「何言ってんですか?」
そんなわけで、どちらか一つを消すのが新年の私の仕事となりそうである。
もし現場に行かなくなったら、社畜エッセイじゃなくなるのかなと思ったが、多分そんなことは無い。現場で徹夜してたのが、今度は会社で徹夜するだけだろう。未来は明るい、と現実逃避して今年は終わりとする。
来年も何卒よろしくお願いします。
2022.12.31. 淡島かりす
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