101.年末の風物詩

 去年書いた話の続きになるが、昔のバイト仲間がM-1決勝に進んだ。正直物凄くビックリした。なんなら朝の情報番組にすら出ていたので、仕事そっちのけで「すげぇぇぇ」と別のバイト仲間に連絡したくらいである。

 コツコツと研鑽を積んだんだろうなぁと思うと、とても喜ばしい気持ちになる。あんなクッソみたいなバイト先から全国区のテレビに出る人材が生まれるなんて思っていなかった。横領窃盗その他諸々が蔓延した貸部屋稼業である。私も含めて全員平々凡々たる人生を歩むと思っていたので、若干希望が出てきた。


 まぁそんなバイト先なので変な奴は多かった。いまだによくわからないのは、辞めた時の話だ。

 新卒で入った会社が、偏差値2ですか?みたいなことを連発するので辞めて、まぁそれよりは人権を重んじてくれる会社に入ったのだが、その時にバイトは辞めた。明確に「副業はダメ」と言われたからである。

 バイト先では24時間営業で全員のシフトがバラバラなためか、それぞれの写真を撮って壁に貼っておく決まりがあった。

 バイトを辞める日に、そういえばと思って写真を壁から剥がして捨てようとしたら、後輩の女の子が「捨てるなら下さい」と言い出した。

 何故だ。お前いつだったか「普通ってつまんないですよね。先輩普通の人生でいいんですか」って言ってたじゃないか。そんな普通の先輩の写真欲しいのか。普通のサンプルにでもするつもりか。あとその時も言ったけど、普通が一番難しいからな。

 そんなことを考えつつも、別に勿体ぶるような写真でもないから渡した。キャラメルポップコーンを抱えて咥えタバコでカメラ見てる女の写真を何故そいつが欲しがったのかはよくわからない。


  しかしながら漫才師が知り合いから出てきたのは初めてな気がする。漫画家は結構多いのだが。大学のゼミの同期の男が、全然卒論出さないと思ってたらギリギリで何とか卒論出して、その後ギムナジウムで暮らす美少年が殺し屋みたいなことしてる漫画を出版していたのはかなりびっくりしたし、会社の後輩が仕事をやめて一年ほど経ってから、別冊マーガレットに読み切り載せてたのにも相当びっくりしたし、中高の同級生がダイの大冒険の漫画を描いてるのにも非常にびっくりしたものだが、まさか漫才師が出てくるとは思わなかった。まだ誰か隠れてそうな気がする。石油王とかいたら教えて欲しい。


 なんと言うか、皆頑張ってるんだなぁ、と特に何もなしえていない社畜は感心しきりである。

 ここ二年くらいカクヨムコンに出す小説を、自分の嗜好から外れたものにしていた。少しでも読んで欲しいという邪な気持ちからである。しかし、何らかの傾向にそぐうようにするのは大事な事だが、己が納得してないのにやるべきでは無い。何しろ筆が進まない。まぁそれでもちゃんと書けて、何ならデビューまでしている人だっていると思うが、それはそれである。

 そんなわけで無理するのは辞めた。今年は自分が好きな分野で挑むことにした。きっかけを与えてくれた知り合いたちには感謝する。まず自分が得意な分野できちんと書けなければ別のジャンルなど書けはしない。

 そんなわけで今年は宗教国家を舞台にした救いのないBLファンタジー。


 M-1は今日なので、見る予定の人は「この中に淡島の知り合いがいるんだなぁ」くらいに思ってくれれば何よりである。私は全力で応援する所存だ。

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