夜行日記

紙野 七

今日もまた眠れずに

噛み砕いた睡眠薬の欠片が喉の奥に引っ掛かる。

生温い苦味が張り付いて、上手く息が吸えなかった。


どうせ眠れないのなら、薬なんか飲まずに読みかけの文庫本へ手を伸ばせばよかったのに。

今更、目を開けることもできず、風呂場の換気扇が回る音を聞いている。


僕は寝癖がつかぬように注意しながら、枕に頭を押しつけて寝返りをうつ。

少し黄ばんで潰れた枕は妙に収まりが良くて、それが何となく気持ち悪かった。

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