黒色達は帰る

 俺の名前はリベルテ。自由を愛する黒羊。俺の肩には飼い烏。烏から焚き火の匂い。近くに飼い主がいるようだ。


「くすっぐたいぜ!」


 烏は俺にほおずりをしている。よく手入れされた羽が心地いい。


「ほら、迎えがきたみてぇだ」


 人の気配がする。遠くて聞こえづらいが、烏のことを呼んでいる。きっと飼い主だ。


「真っ直ぐ帰れよ」


 俺の言葉を理解しているのだろう。烏はすぐに飛び立った。こちらを振り向くことは一度もなかった。

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