カメラとブザー

稲吉急便

カメラとブザー

冬枯れ窓拭くその朝

となりまちのニュースがやっていた

何を思ったのか

コンビニにいた少年は

そんなことには意味がないらしい

苦し紛れについた嘘は

ほんとに嘘だったかい


僕は今日も日記をかく

汚れた街をバックレて

天気の悪い港と賑わうショップ

に目を奪われ

不思議に、それは冷たい目線

メッセンジャーに伝えよう

記憶の庭を売りさばく人に


防犯ブザーが鳴り響いて

君の声はもう分からない

それさえなけりゃ

泣いても許されたさ


信じたわけじゃないけど

君の全て 俺は冷たいし

疑うから

終わりそうで消えそうな人生には

草の匂いがして

見晴らしのいい場所がある



僕は今日も日記を隠す

悲しそうなピアノのそばに

天気のいい都と携帯ショップ

誰もが夜を越えてきた

声を押し殺しているのだ

ただ静かな涙と青い嗚咽だけは

彼の胸のうち、カーステみたく

流れているのさ


防犯カメラに映らない

君の心はどこへ行く

それさえなけりゃ

神様が助けてくれる?


ふざけるな

ふざけるな

あんたのものでもないものを

あんたの好きにできると思って

これはおまえのラジオじゃねえんだよ


防犯ブザーが鳴り響く

君の心を守るのだ

カメラとブザーで

神様なんていないのだ


そこに何があるのか分からない

ただ、その部屋にあるもので

僕のものは一つもない





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