004 修行

(すごい偶然だけどあの子は師匠の息子で間違いない。あの時、師匠は… )


 〜回想〜

「この戦いが終わったら俺のガキを鍛えてやってくれないか」


「えっ私がですか?? 」


「そうだ。お前はもう立派な兵士だ。俺がお前にした様に俺のガキにも教えてやってくれないか」

 〜回想終了〜


(息子に会う前に師匠は死んでしまった。でもこの出会いはきっと師匠が仕組んでくれたものかもしれないわね。)


「修行、か。」


 翌朝

 ニュース「先日、パノラ市が襲撃された事件での死者が24人に登りました。この様な襲撃事件は世界各国で見られ、国内では4件目になります。政府は、一刻も早い対応を検討するとの事です」


「久々にニュース見たら、こんな事になってたんですね」


「ええ、おかげで毎日対応に追われてるわ」


「ん?ディープさんって政府の人間だったんですか? 」


「えっいっいや、そういうわけではないけれど… 」


 バールはふうん、と相槌をつき、テレビを消した。右手にはモップを持っている。


「ほら、手が止まってるわよ。早く掃除して頂戴」


(……この街に来るのも時間の問題ね)


 ディープはバールをいち早く鍛えなければならない。そのためにはバールの体力を底上げする必要がある。そう判断した。


「へっ? 」


「はい、これよろしく」


 段ボール箱を持ちながらキョトンとするバール


「よろしくって、どこまで? 」


「ココまで」


 バールは恐る恐る箱に書いてある住所を目に入れた


「はぁ?!カ、カトレヒト市… 」


「お願いね」


「お願いねって…こっから6時間はかかるぞ…しかもこれ重いし」


「いいや、もっとかかるわね」


 ディープはさらに箱を追加する


「いくらなんでもこれは…… 」


「帰ってこれたらたんとご馳走食べさせてあげる」


 ディープの言葉には不思議な強制力の様なものがある気がした。


「さて、昔の私と比べてどうかしら」


 実はこの要求は、ディープが師匠であり今の弟子の父親であるヴィンテールに最初に注文された特訓だった。ディープはもう一度テレビの電源を付ける。


 テレビ「いや〜、犯人の正体もわかりませんからね、動こうにも動けない状況ですよ」


「間に合うといいけれど。」

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