第24話、体育祭のお題で、そんなのってありなの?
競技に参加していた風香が恥ずかしそうにしながら俺に向かってきてこう言ってきた。
『晴樹お願い、、、私をお姫様抱っこして』
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100メートル走が終わった後、次の競技は借り物競争。
風香の番となった。
『それじゃあ、行ってくるね晴樹!』
『頑張れよ、風香!何かあったら助けるからさ!』
『うん!分かった!』
俺はそう言って風香を見送った。
見送ったまではよかったのだが、借り物競争に参加している生徒が多くて風香を見失ってしまった。
『風香どこいったんだろう、、、』
俺がそう呟いていると後ろから健太が話しかけてきた。
『何?風香ちゃんいなくなったの?』
『いや、参加はしてるはずなんだけど全然見当たらなくて』
借り物競争はすでに始まっていて、次々と参加者の生徒達が、応援席に紙に書かれたお題を求めてやって来た。
眼鏡やタオルなどの誰もが持っている物から、男子生徒が女子生徒を連れて行ったりと様々な物がお題となっていた。
もちろん、男子生徒が女子生徒を連れて行った時には、周りの生徒達がめちゃめちゃ盛り上がっていた。
(多分、好きな人とかだったんだろうな)
そんな事を考えていると、目の前に誰かが近づいてきた。
近づいて来た人が誰かと言うと、風香だった。
しかし、何故か風香の様子がおかしい。
やけにもじもじしていて、顔が赤い。
『風香?どうしたの?』
俺がそう聞くと風香は小声で何かを言ってきた。
『.....さま......こ......』
『え?何?』
声が小さくて何を言っているのか分からなかった。
『お題に、何書いてあったの?』
俺がそう聞くと風香は、恥ずかしがりながら大きな声でお題を言ってきた。
『好きな人に!!お姫様抱っこされながらゴールするって書いてあったの!!!』
そう言われた俺は顔を真っ赤にしながら、最早借り物と言えるか分からないお題にツッコミを入れた。
『誰だよ!こんなお題入れたやつ!普通に考えて大抵の生徒、このお題できないだろ!!』
『あ、それ入れたの私だ。』
菜月が後ろからそのお題を覗き込んできた。
『いや、お前かよ!』
菜月は体育祭実行委員なので、お題を書いたのだろう。
『よく、このお題通ったな。。』
そうこうしている内に時間はどんどん過ぎていく。
他の生徒達が着々と紙に書かれたお題を借り終えてゴールに向かい始めていた。
『晴樹くん、やってあげなよ彼氏でしょ!』
『いや!この大人数でお姫様抱っこなんて恥ずかしすぎるわ!!』
すると風香は恥ずかしがらながらもおどおどしながら俺にこう言ってきた。
『私をお姫様抱っこするのそんなに嫌?』
『嫌ってわけじゃないけど、場所が場所だから。。』
『
『晴樹、お姫様抱っこくらいしてやれよ』
『そーだ、そーだ!!』
健太と周りの生徒達が茶々をいれてくる。
『あーーもう!ちょっと待って』
躊躇っていた俺を見ていた風香が何故か新呼吸をしていた。
『すぅーはーすぅーはー』
『風香?』
俺がその行動に疑問を持っていると風香が控えめに手招きしてきた。
『晴樹、、ちょっとこっちきてくれる?』
俺はゆっくりと風香に近づいた、、、次の瞬間________
チュッ_________
『ん!?』
まさかの事態が起きた。。
風香が何を思ったのか、俺にキスをして来た、しかも結構長いキスを。
『...................ん』
そして、ようやく唇を風香が離したが俺は突然の事に固まってしまっていた。
ただ、周りのクラスメイト達からは女子達の黄色い声と男子達の若干名の嫉妬の声が聞こえてきた。
『キャーーーー!風香ちゃん大胆』
『流石に今のはちょっとムカついたわ、見せつけて来やがって!!羨ましすぎんだろぉぉ!!』
そんなクラスメイト達の叫び声をよそに風香は、甘えらような上目使いでこう言って来た。
『これで、、、お姫様抱っこ、、恥ずかしくないでしょ?』
『あーもう!やるしかないだろ!』
俺は覚悟を決めて風香にお姫様抱っこをした。
そしてゴールを目指して全力で走り出した。
走っている最中に風香の様子が気になったので風香の方を見ると、かなり恥ずかしそうにはしていたが、何処か幸せそうな顔をしていた。
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