ストーカー犯と美人弁護士part4

病院での一件後、警察にストーカー被害を訴えに行ったが、写真が送られてきた以外に証拠として証明できる被害も出ていないため、警察としても自宅周辺の警戒強化をするくらいしか出来ないと言われてしまった。


そのため、すでに住所が知られている現在の住居から引っ越しを行い、これまで通勤時は健康維持もかねて徒歩で出所していたが、万が一を考えて運転手をつけて車通勤に変えた。ストーカーのせいで、これまで満足していた生活スタイルを全て変えざるを得ない苦痛、そしてどれだけ対策をしても何処でも誰かの視線を感じるようになり、一人でエレベーターに乗っている時、男性が乗ってくる度に恐怖に襲われる続ける事になった。



これまで田端は弁護士として企業法務ばかりを担当し、こういった刑事事件対象となるような案件は扱ってこなかった。たまにニュース等でストーカー事件を見聞きすることはあっても、自分ごととして関心を持った事は無かった。まさか、ストーカー被害にあった人がここまで精神的に追い詰められる事になるなんて想像すらした事が無かった。


仮に粘着サイコが刑務所に入ったとしても、ストーカー犯罪は終身刑になる事は無いと言っても過言ではない。いつか必ず社会に出てくる。この先の人生をずっとストーカー犯に左右されてしまうと思うと、田端はこれまで『犯罪者にも人権を』と声高に叫んでいたことが、社会にとって恐ろしい事をしていた事に気付いた。


田端は、人権団体から脱退し『刑事事件における犯罪者は全員、死刑になるか終身刑、出所したとしても島流し』といった主張を展開するようになり、人権を盾に犯罪者擁護する人間を見つけては叩く側の人間になった。

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