625.地下をばっびゅーん!

 ステラがナナを紐でしっかり自分に固定する。

 ステラ、ナナ、マルコシアス、ディア、砂コカトリスが同じパーティだな。


「ええと、ナナはしっかり固定してっと」

「大丈夫かな? 大丈夫なんだよね?」

「大丈夫ですよ! どーんと構えていてください!」


 しかし言葉とは裏腹にステラは過去一番、時間をかけて紐の固定を確認していた。


 なお砂コカトリスはステラが両腕と紐をお腹に回して運ぶらしい。


「わふー。砂ぴよも大丈夫なんだぞ?」

「ぴよ」(フィット感ある)

「ぴよよ。なかまたちは、担いで運んでたりするから問題ないぴよよ」


 ステラがぼそっと言う。


「……この中だとマルちゃんとナナがヤバかもですからね」

「えっ」


 ナナががびーんとしているが、そうなるのか。

 ディアと砂コカトリスとステラはすごくタフだからな。それに比べるとマルコシアスとナナは……ということだろう。


「並びとしては俺たちが前でステラたちが後ろだな。何かあったときはコカ博士や俺が魔法でカバーするから」


 間に合うかどうかは、反射神経くらいだが……。俺もすぐに魔法を使えるよう、ストレッチしておこう。


 そんな感じで俺たちは地下通路をばびゅーんと飛んでいく。


「ウゴゴー! はやくない!?」

「兄さん! 速いって!」

「あわわー!」

「大丈夫だ! コカ博士を信じろ!」


 ヴィクター兄さんが高速で地下通路を飛んでいく。


 レイアは帽子を抑えながらアワアワしていた。確かに彼女は魔法使えないからな。

 この状態になると、クラッシュするときに備えるしかない。


 ちらっと後ろを見ると、ステラが砂コカトリスの身体をがっしり掴みながらぎゅーんと飛んでいる。


「ぴよー! すごぴよよー!」

「わうっふー!」

「ぴよー! ぴよよー!」(浮いてるー! はやー!?)


 ディアとマルコシアスは目を輝かせている。

 ……砂コカトリスも楽しそうだな。


「あぶっ! あぶぶ!」

「ナナぴよ! 速度を落とすとむしろ危ないですよ! 思い切りが大事です!」


 俺のほうはヴィクター兄さんに任せきりだからな。

 それに比べると、後方のほうは……まぁ、ステラはノリノリみたいだが。


「砂ぴよちゃんも楽しいですかー!?」

「ぴよよー!」(たのっすぃー!)


 とまぁ、こうして俺たちは地下通路の終点までかっ飛ばして行ったのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る