487.順調な堤防作り

 日が昇り、作業が始まる。


 ステラはコカトリス達と楽しく堤防作りをしているな。 

 今は積み上げた土をならして、外側に補強材を塗っていた。


 レインボーフィッシュの鱗を砕いた粉といくつかの材料を混ぜたモノらしい。


 ステラのお手本の動きをまねて、コカトリス達が並んで作業をしていた。


 土をならすコカトリスがぺったんして、ハケとバケツを持ったコカトリスがぬりぬりしている。


「ぴよ!」(ぺったん!)

「ぴよよ!」(ぬりぬり!)

「ぴよっぴ!」(ぺったんたん!)

「ぴよっぴよ!」(ぬりぬりぬり!)

「いいですよー、堤防できてます! できてますよ!」

「できてるそうです! その調子です!」

「「ぴよー!」」(はーい!)


 俺は堀の中で管通しだ。

 植物魔法で竹を生やして土を掘り進める。


「……まっすぐは意外と難しいな」

「そんなことないですもぐ、できてますもぐ!」


 細い管をまっすぐ通すわけで、精密さが要求される。結構大変だ。


 魔法なしだとこの作業だけで何日もかかるだろうな……。


 集中のしすぎで、額に汗が浮かぶのがわかる。

 とはいえステラも頑張っているからな。

 しっかりやらないと……。


 少しして冒険者達も集まり、作業に加わっていく。


「もう結構できてる……!!」

「ぴよが参加してるー!」

「ぴよ!」(お水に浮かんで遊べると聞いたので!)


 堤防作りは順調なようだ。


 俺のほうも地下へは管を通し終わり、あとは堤防へと管を通す作業だな。


 あえて固めていない数カ所に管を通していく。

 これもまっすぐ……と。


「はぁ、はぁ……遅くなりました……!」


 レイアが息を切らせて走ってきた。


 ん?

 特に堤防作りには呼んでいなかったはずだが……。


「どうしたんだ?」

「ぴよちゃんがお手伝いしていると聞きまして、網膜に焼き付けるために……」

「お、おう……」

「あとぴよちゃんのために、おやつを色々と……」


 レイアが持ってきたバッグを広げて見せてきた。

 ……草だんごが入っている。


「それは喜ぶだろうな」

「あとでナナも装置を持ってきます。午後になるとは思いますが」

「ふむ……というか太陽がもう高いな」

「もうすぐお昼ですからね」


 集中していて気付かなかったが、そんな時間か。


「よし、それじゃキリのいいところでお昼ご飯にしようか。レイアは草だんごをコカトリス達に振る舞ってくれ」

「はい! わかりました!」


 レイアもにっこにこだ。

 コカトリスにご飯をあげるのは、レイアにとっては嬉しい仕事だろうし。


 堤防作りもだいぶ進んでいるように見える。


 この調子なら、午後の早めには水を入れられるだろうか。

 よしよし、順調だな。

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