ロケーションFー1 大祓①

【登場人物】


坂本 章(15)……学生



佐倉 菜花(16)……高校生アイドル



鮎川 まりな(27)……崖っぷちアイドル


水森 あの子(17)……高校生アイドル



藤森 敦彦(45)……パーサー

片岡 冴子(39)……客室乗務員



客室乗務員A(23)

客室乗務員B(22)




【あらすじ】


 バカなあゆまりお姉さんとあほの子あの子と地味な佐倉菜花。

 3人はアイドルユニット『ばあじ』を結成。


 この日は宮崎県のとある神社での営業。

 飛行機のプレミアムシートは、すこぶる豪華だ。

 客室乗務員はちょっと歳上だけど、すこぶるセクシー。


 仕事内容は、大祓という神事と巫女の体験レポート。

 1番はりきっていたのは、他ならぬ坂本くんだった。



 そんな中、機内には珍しくドクターコールが巻き起こった。

 急病人が発生したのだ。




◯JANA国内線・機内・プレミアム客席(早朝)


(ナ)「佐倉は、あゆまり・あの子と3人で『ばあじ』を結成した」


   プレミアムシートに搭乗する、4人。

   他に乗客はいない・


   横座りから長い脚をゆっくりとまわしシートに収まる、まりな。


まりな「よいしょっと」


   もたれずに堪える、あの子。


あの子「んーん、んーんっ。あはっ」


   我慢できなくなりシートに身を沈める、あの子。

   地味に腰をかける、さくら。

   鼻の穴を大きく膨らませる、坂本くん。


   皮の匂いを嗅ぐ、まりな。


まりな「はぁーっ。なんともいえない幸せを感じるわ」

あの子「奇遇です。プレミアムシートなんて私も初。興奮しますね」

さくら「2人ともそんな貧乏性じゃ、大スターにはなれないわよ」


   視線を坂本くんに移しながら、さくら。


さくら「ね、坂本くん……って。だめだこりゃ」


   坂本くん、靴を脱いでシートに正座している。


さかもとくん「あっはははははっ」


(ナ)「4人はプレミアムシートが大層気に入ったようだ」



   飲み物の提供をする、冴子。


冴子「牛乳割りで御座います」

坂本くん「ありがとうございます。これでやっと落ち着けます」

冴子「(笑顔で)お客様にとってお寛ぎのひとときを提供でき、光栄です」


   冴子の笑顔に顔を赤くする、坂本くん。

   それをみて顔を赤くする、冴子。


冴子(M)「いやだ、私ったらつられちゃったわ。サービスしとこうかしら」


   冴子、おっぱいを強調するポーズをとる。

   坂本くん、視線をそこに移す。


冴子「何かございましたら、いつでもお呼びくださいね」

坂本くん「はっ、はひっ」


   その場から立ち去る、冴子。

   坂本くんのほっぺをつねりながら、さくら。


さくら「(おこ顔で)ちょっと、何よ。鼻の下伸ばしちゃって」

坂本くん(痛そうにして)してない、してないよ。いたたたたっ」


   さくら、手をはなす。

   自分のほっぺをさする、坂本くん。

   まりな、右手を水平にして額にあてて坂本くんを見る。


まりな「(面白がって)おーっ。さっそく痴話喧嘩ですなーっ」

あの子「(あわれんで)佐倉さんも大変ね。坂本くん、モテモテだから」


   さくら、目を軽く閉じ両手を逆八の字に広げる。


さくら「本当よ。少しは大人しくしてろっての」

坂本くん「(必死に)俺は何もしてないって」

さくら「(おこ顔で)じゃあCAさん、何でおっぱい強調してんのよ」


   坂本くん、さくらに両側のほっぺをつねられる。


坂本くん「しっ、知らないよ。いててててっ」


   顔を見合わせ苦笑いの、まりなとあの子。

   まりな、坂本くんをみて、


まりな「ところで、今回の仕事って、どんなのだったっけ」

あの子「奇遇です。私もそれが聞きたかったんです」


   さくら、坂本くんのほっぺから手をはなして、


さくら「(おこ顔で)仕方ないわね。聞いてあげるわよ」

坂本くん「(元気に)最高の仕事だよ。巫女だから」


さくら「坂本くん。巫女、大好きかよっ」

坂本くん「(笑顔で)俺が好きなのは、さくらだけだよ」


   さくら、顔を赤く染め黙り込む。


まりな「(苦笑いで)ヒューヒューだねっ」


   飲み物を片手に、あの子。


あの子「(真顔で)はい。けど着付けとか、大変そう」


   飲み物を飲み干す、あの子。


まりな「たしかに。私、浴衣なら何とかなるけど。袴はムリかも」


   片目をつむりながら、さくら。


さくら「それなら心配いらないわ。ね、坂本くん」

坂本くん「(どや顔で)あぁっ。まっかせなさいっ」


   顔を見合わせる、まりなとあの子。


まりな「(笑顔で)それは、楽しみね」

あの子「(笑顔で)はい。佐倉さんのお墨付きなら、余計に」


(ナ)「3人での仕事にも慣れてきた『ばあじ』だった」


◯JANA国内線・機内・一般客席(早朝)


   慌ただしく仕事をする、客室乗務員たち。


冴子「こうなったら、ドクターコールしかないわ。ね、パーサー」

藤森「はじめてのCAもいるだろうが、よろしく頼むよ」

客室乗務員A「分かりました。パーサーや冴子さんがおっしゃるなら」

客室乗務員B「はい。訓練の成果をあげてみます」


   客室乗務員、各自の持ち場へと散る。

   一般客席内でドクターコールがはじまる。


冴子「(大声で)お客様。お客様の中にお医者様はいらっしゃいますか」

客室乗務員A「(恥ずかしそうに)お客様。お医者様はいらっしゃいますか」

客室乗務員B「(真っ赤な顔で)お客様お医者様、いませんか」


(ナ)「飛行機は、はるか宮崎に向けて旅立ったばかり」


======== キ リ ト リ ========


今では、ドクターコールは無くなりました。

登録医師がどの席にいるか分かるからです。


いつもありがとうございます。

これからも応援よろしくお願いいたします。

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