君のすべてを失っても

@zakiso

第1話

「少年、二つに一つだ。私と来て世界を救うか、今ここで死ぬか」


 拳銃の銃口を俺に向けて、女は言った。女は、うちの高校の制服を着ているのに見慣れない制帽をかぶっていた。軍人みたいだ、と思う。


「悪い。そういうイタいのは勘弁しt」


 女は、俺が言い切る前に引き金を引いた。およそ多くの人が実際は聞いたことのない音が、現実に響く。


「次は、当てる」


 厨二くさいってそんな禁句だった?それにしてもこの女、挨拶くらいの軽いノリで弾丸ぶち込んできやがった……確かに見た目は外人っぽいけど、ハグでもキスでもなく弾丸なの?こいつ、どうあっても俺を殺す気では?


「銀髪…制帽のほうがいいか?」

「何を言っている?」

「いや、ダイイングメッセージに何て書こうかなと思って……」

「安心しろ。世界を救えば、お前は100%死なない」

「100%って…胡散臭いつうの。…世界を救える確率は?」

「20%だ。隠していても仕方がないから言うが、残りの8割ではきみは死ぬだろう」

「お前に殺されるのも含めてか?」

「どうだろな」


 女は意地悪そうに笑う。


「それで、返事は?」

「わかった。話を聞こう……とは言えねえよ!」 


 俺は近くにあった自分の鞄を女に向けて投げつけ、必死に逃げ出した。少しでも妨害になればと思ったが、無駄だったらしい。どこからか小柄な女の子が飛び出してきて鞄を蹴飛ばし、弾道を開ける。


「死んで来い」


 女は躊躇なく引き金を引く。酷い耳なりと一緒に俺の意識は失われた。




 

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