第1770話 大魔王ソフィが放つ、規模の違う固有魔法
「よ、よくも……、妾の同胞をやってくれたなぁっ!!」
大魔王ソフィに『殺意』を向けられた事で恐怖で震えて動けなくなっていた『
だが、帝楽智が魔力回路から『魔力』を放出させようとした瞬間にがくんっと身体が揺れて、そのまま前のめりに倒れそうになってしまう。
「ぐっ……!?」
しかし帝楽智は大魔王ソフィによる『
そして空になった『魔力回路』に『魔力』を注ぎ貯め直そうとした瞬間に、ソフィの『
『
これではもう勝ち目などある筈もないが、それでも彼女は先程の戦意喪失状態からしっかりと立ち直り、同胞を殺められた報復を行おうとする意欲によって、恐怖心を遠ざける事に成功して今も『魔力枯渇』を引き起こし掛けた状態のままソフィを睨みつけていた。
本来であればこういった気概を持つ者をソフィは好む傾向にあり、彼はそのような人物に対して今後の更なる成長を期待したりするところだったであろうが、残念ながら今回のソフィにはそれは望めないだろう。
魔族にしては非常に温厚な一面も持ってはいるのだが、ひとたび彼の仲間を傷つけてソフィと敵対する事になれば、これ程までに残酷な魔族もそう簡単には見る事は出来ない為である。
普段のその温厚な一面が目立ち、大事な仲間達や興味を抱く人間の前では非常に友好的に映るのだが、勘違いをしてはいけないが、彼は『アレルバレル』の『魔界』の頂点に君臨する『大魔王』なのである。
その普段の温厚さが印象深く、そこまで恐れるような存在ではないと思うかもしれないが、残酷さや冷酷な一面を見せる時は、あの一度は世界そのものを混沌に陥れた大魔王『
――つまりは大魔王ソフィと一度でも本気で敵対してしまえば、他の大魔王が行う所業が可愛く見える程に、残酷な目に遭わされてしまうという事である。
世界の果てまで逃げようが必ず追いかけて仕留めに出向き、いくら数を集めて世界そのものが敵になるような事態になろうとも、彼はその仲間の為にならば、その敵対する機関及び全生命体が完全に停止するまで『
結局のところは大魔王ソフィと敵対してしまえば、どうしようもなくなるという事なのである。
――そしていつの間にか『魔力枯渇』を引き起こして意識が朦朧とし始めた『帝楽智』の前に、大魔王ソフィが立っていた。
「よくも我の仲間を傷つけてくれたな」
――皆殺しだ。
大魔王ソフィは冷徹な目つきを向けながら、右手を帝楽智の心臓に突き入れた。
「かっ、は……っ、――」
「お主ら天狗という妖魔共は、一体足りともこの世に生かしてはおかぬ」
――魔神域魔法、『
天狗族を束ねる『天魔』の『帝楽智』を葬り去った後、大魔王ソフィはその彼女の『魔力』の残滓を頼りに、世界に散らばる天狗達を対象に向けて彼の固有魔法である『
全く規模そのものは違うが、それはかつて魔王レアが精霊ジウを葬った時に、その精霊の『魔力』から探知を行って精霊族の大陸を発見した時と同様の事を行ってみせたのである。
――こうして大魔王ソフィの手によって、この日を境に天狗族は完全にこの世から絶滅させられる事となった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます