第1079話 咄嗟の機転と失望
「ちょ、ちょっと待ってくれシゲン殿。さ、流石にそんな無茶を急に言ってもらっては……」
困ると続けようとするが、その言葉を告げる前にミスズが遮った。
「
「た、確かにその通りではあるが、流石に先程の要求は一方的で乱暴すぎるとワシは思うぞ……!! 先程も言ったが、最高幹部であったヒュウガが姿を晦ましたのだ。今ワシが長の座を降りる事にでもなれば、うちの組織はどうなるというのだ! 戦争、戦争と軽々しく口をするのはいいが、この『ノックス』の世界のあらゆる町は、お主達『
数百年という長いもの間、妖魔から町や人の身を守ってきた『
『
今でも袂を分かってこそはいるが、両組織間での取り決めがあり、協力出来るところは協力している状態である。確かに『
シゲンはゲンロクに『妖魔山』の管理を譲り渡すという言葉を出させる為に、発破をかけたつもりであったが、そのゲンロクは自分の進退によって生じる組織への影響へと論点をすり替え始めてしまった。
――全く上手く口が回るものだとシゲンは、内心で感心すら覚えるのであった。
「確かにこちらの言葉も一方的過ぎたところはあります。しかしそこまで言うのでしたらゲンロク殿、まずは貴方の誠意を形にしてもらいましょうか。こちらの要求をそのまま呑めないというのでしたら『予備群』の一件にしても『不法侵入』の一件にしても、
副総長ミスズは眼鏡をくいっと上げながら、ゲンロクに畳みかける。
「くっ……! くっぅ……!!」
武力では『
もう泣きたくなるような辛い惨状に『ゲンロク』は、血が出るほど強く唇を噛み、何も言えずに目の前のテーブルを見つめる事しか出来なかった。
「今回はこれまでの貴方がうちに行ってきた功績を考慮して、貴方に満足の行く決断が出来るように、数日は待つ事にしよう。だがゲンロク殿、うちは仲間を傷つけられて黙っていられる隊士など、一人もいないという事を肝によく銘じておく事だ。では『ミスズ』に『ヒノエ』。今日はここまでだ。帰るとしよう」
茫然自失となっているゲンロクを一瞥したシゲンは、立ち上がりながら部下達に声を掛けるのであった。
「はい、分かりました総長。それではゲンロク殿『
ヒノエもミスズ達と同様に立ち上がり、情けない表情を浮かべているゲンロクを見て、前回は自分が認めた男は所詮はこんなものだったのかと、
そうして二度目の会合が終わり『
その場に残された『
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