第1056話 組長同士の争い
ソフィ達が『
前回ゲンロクの居る里へ話し合いに向かったヒノエは『
「私はアイツらによく考えろと言ったつもりだったが、あいつらにとって『妖魔山』の管理権をうちに移す事がそこまで許容出来ない事であったというワケか?」
「どうなのでしょうか……。これは『
あの場に参加していなかった『
(しかし私の予感がこのような形で実現されてしまうとは……)
ヒノエと共にゲンロクの里に向かったヒナギクだったが、その帰り際にヒノエに『
しかしあの時ヒナギクはヒノエの背中を見ながら近い未来、その武力衝突が起こされるのではないかと予感めいた物を感じていたのであった。
「ゲンロク殿の思惑ではなかったとしても、もう今回の一件は冗談でしたでは済まされないだろう。ひとまず本部へ行くぞヒナギク!」
「了解です。ヒノエ組長」
…………
そして招集された『
副総長のミスズによる会議の進行で、今回の襲撃の場所である襲われた『
『
ゲンロクの里に居るヒュウガ派の『
つまり『
「これから我々は『
淡々と副総長である『ミスズ』が決定事項を口にしているが、これまでの『ノックス』の世界の歴史上、両組織での武力を伴った戦争は過去には一度も行われてはいない。それは前時代までの互いの組織が、それだけは起こしてはならないと考えた上で気を付けた行動を取ってきたからに他ならない。
しかし今回は死人こそ出てはいなかったが、妖魔退魔師側の下部組織の
――『
ここまで舐められた態度を取られている以上、何もせずに静観はあり得ない。この場に集まったそれぞれの組長や、副組長達はそれぞれが気を引き締めた表情を浮かべて
「我々がこの町を離れる間。町の警護は退魔師衆と精鋭の『
「ケイノト? ああ『退魔組』の存在の為か」
ヒノエが訝しげに眉を寄せたが、そこには『
「はい、その通りです。戦争になれば当然『退魔組』も『
『退魔組』に居る『
「前回の事も踏まえて、事情をよく知るヒノエさんにそちらを任せたいと考えているのですが」
「いや、待ってください、ミスズ副総長」
副総長のミスズは最高幹部の中でも序列の一番高いヒノエ組を『ケイノト』の町に派遣しようと考えていた為、この場でそれを告げようとした。しかしそこで副総長のミスズの言葉を遮る形で『二組』の組長である『スオウ』から待ったの言葉が掛けられるのであった。
「事情をよく知るという事であれば、ヒノエ組長達にはゲンロク殿達との会合に参加した方が、宜しいのではないですか? ここ最近戦果を挙げられ始めたヒノエ組長はとても立派ですが、その組員達は最近ヒノエ組に抜擢された者達であり、今回のような非常に重要な任務を任せるのは酷だと思うのです。僕たち『二組』であれば数こそヒノエ組には劣りますが、組員全員が古参であり、戦闘経験の豊富な者達が揃っています。僕たち二組に退魔組は任せて頂きたいのですがどうでしょうか? 副総長」
「
誰にも聞こえない程の小さな声で副総長ミスズはぽろりと言葉を漏らす。
元々は一組を預かる最高幹部であったスオウだが、近年その『一組』の座をヒノエ組に奪われてしまったスオウ組は何かにつけて『一組』となった『ヒノエ組』を敵視していたのであった。
「おいおい、副総長殿が決めた事にいちいち文句言ってんじゃねぇよ? クソガキ」
聞き分けの悪い子供を相手にするかのような声で告げると、ヒノエは大きく溜息を吐いた。
スオウの眉がピクピクと動いたかと思うと、ぎりっと歯噛みした後に直ぐに表情を戻して無理矢理に笑みを作った。
「強欲だよねぇ、ヒノエってさ。どんな汚い手を使って手柄を立ててきたのかは知らないけどさぁ? まだ足りないのかなあ、それとも総長に気にいられたくて必死なのかな?」
こちらも隣に居る『ヒノエ』達だけに聞こえるような声で『ヒノエ』を煽る『スオウ』であった。
「あ? もういっぺん言ってみろよ、クソチビ!」
「ああ? 何度でも言ってあげるよ、このうどの大木!!」
総長にそこまで気に入られたいのかとスオウに言われたヒノエは、隣に居たスオウの髪の毛を強引に掴んだかと思うと、スオウも負けじとヒノエの胸倉を掴みあげる。
「な、何をしているのですか、今は大事な会議の最中なんですよ!」
進行を務めていた副総長ミスズが慌てて止めに入るのだった。総長のシゲンはその様子をみて、腕を組みながら溜息を吐くのであった。
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