第1052話 ヒノエの爆弾発言
組長のヒノエと副組長のヒナギクは『
「待たせてしまって申し訳ない。私が『総長の
「同じく『副総長の
椅子に座って直ぐに挨拶をする二人に『
本来の両組織が行う取り決めの会合では『
つまり今回の一件は完全に『
「早速だが、うちらの土地に入り込んでドンパチやらかした件。あんたらはどうするつもりなのか、聞かせてもらおうか?」
対立する組織の総本山で、少しも臆する事なく堂々とした態度で『ヒノエ』組長はそう言い放つのだった。
ヒノエの言葉にまず始めに口を開いたのは『
「この度は申し訳ありませんでした。再三入り込んだ者達にも気を付けるように伝えてはいたのですが、うちの領地内の『加護の森』に唐突に二体の妖魔が現れましてね。森の警備を行っていた退魔組の若い者達が、現れた妖魔を退治しようと対応にあたったようなのですが、その妖魔は敵わないとみるや、そちらの管理する土地側へと逃げて行ったそうで、彼らも逃げた妖魔が町へ向かえば危険だと考えての事で、必死になって後を追っていったそうなんですが……」
「あー、ヒュウガさん。
「え?」
ヒュウガがサカダイの管理する土地に入り込んだ理由を述べている途中で、ヒノエは手で制してヒュウガの言葉を遮るのであった。
「だからアンタらの組織の連中は、理由がどうであれ入っちゃいけねぇ場所に入り込んだんだ。その
ぴしゃりと言い放った『ヒノエ』のその高圧的な態度にヒュウガだけではなく、他の者達も眉を寄せて不機嫌さを露にするのだった。
「そ、それは……。ですから今後は若い者達によくいい聞かせておきますので、どうか穏便に済ます事は……」
他の『
「お前、舐めてんのか? うちとアンタの組織の関係は分かってんだろうが。そんな適当が許されるんだったら、毎回毎回利権の取り決めやらなんやら話す必要も意味もねぇだろう、なぁヒナギク?」
「はい。まさしくその通りですね。事情はどうであれ、両組織間の間で決めた事を破ったのは貴方がた『
不穏な空気の中、急にヒノエに話を振られたヒナギクだったが、冷静にそう告げた後に視線をゲンロクに向けるのだった。
視線を向けられた『
「うちが『
「ほう……? 例の森に入っただけだというのにえらく大盤振る舞いじゃないか。何か裏があるんじゃないかと疑ってしまうねぇ」
『コウヒョウ』はノックスの世界では商いの町として有名で、世界中から人が集まる大都市であり、当然『
酒場、食事処、
そんなコウヒョウの利益と、コウヒョウの町の護衛を務める『
少々荒事があったとはいえ、単にサカダイの管理する森に入ったくらいで、ここまでの有益な提案を示されるとは思わなかった。この条件であれば、本来なら話を持ち帰る事もせずにこの場で決めてしまっても構わない程なのだが、今回は少し事情が違う。
今回の会合で『ヒノエ』達に出された命令内容は『
それが前提条件である為に、ここまでの好条件であったとしてもそれで構いませんとは、とてもいえないのであった。
ヒノエはちらりと隣に居る自分の信頼する副組長の顔を見る。どうやら副組長のヒナギクも悩んでいるような表情を浮かべている。彼女も『
「しかし悪いがそれだけじゃ駄目だな。コウヒョウの上乗せにプラスして、直接縄張りに入り込んだ連中と、その連中に指示を出した『退魔組』の頭領『
「「なっ……!?」」
とんでもない事を言い出した『ヒノエ』にその場に居る者達は『ゲンロク』や『ヒュウガ』。それに
……
……
……
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