第1009話 妖魔召士、チアキ
キネツグとエイジが言い争いを始めた頃、アジトの施設の前の入り口付近に居るソフィ達の元に、もう一人の『
「さて、ヒュウガ様から直々に殺すように指示された二人。ソフィとヌーと言ったかしら? 残念だけど、この場でこの世から消えてもらうわ」
チアキが笑いながらそう言うとソフィが口を開こうとするが、その前に隣に居た『
「あなた方を『
元々この一件は『
「は? そんな事、知らないわね。元々私たちが先に『二人組』に目をつけていたのよ『
コウゾウは目を丸くしながら驚いた。先程までならいざ知らず、コウゾウが自分達を『
『
決して表に出る事はない、両組織の過去の利害に関わる取り決めや柵。各地の街々に今も続く、妖魔絡みの
そう言った内情からも二つの組織は、表面上は『五分五分』の組織ではあるが、実際には『
現在は直接的な組織同士の揉め事などは無い為、これまでこういった風に『
そしてそれは『
『
「俺は条件とまではいわないが、この一件が終わるまでは待って欲しいと告げたつもりだが、貴方はちゃんと理解して我々にまで手を出すと、そう言っているのか?」
彼女の発言をより明確に示す為、コウゾウは再び口を出した。
「ははは、回りくどい言い方をしても
にこりと笑みを浮かべた後、チアキは目を見開きながら言葉を吐き出す。
「引っ込んでろよ、クソ雑魚! 『
――彼女は決定的な言葉を明確にした。
この『
一介の組織の人間がその組織のトップの名前を出したのである。物事の大きさを把握出来ない、年端の行かない者という事でもなく、役職的にも『退魔組』や『
「分かりました。物事の道理を無視した貴方がこちらの提案を無視した挙句、文句を直接『ゲンロク』様に言えと貴方は仰られましたね? この事は包み隠さず上に報告させて頂きますよ?」
表情から色を失くしたコウゾウが淡々とそう告げると相当に苛立っているのか、チアキと呼ばれた女性は額に青筋を浮かべ始めた。
「うるっせぇなぁ!! いちいちゴチャゴチャ、ゴチャゴチャよぉ! てめぇら雑魚は、あたしが告げた事に大人しく従っていたらいいんだよ! ヘラヘラ馬鹿みたいに笑顔浮かべて、媚でも売ってろよダサ坊が」
そう言った直後『チアキ』は
「!?」
コウゾウは近づいてくるチアキに対して何も抵抗が出来なくなり、全く動かない手足に狼狽していたが、その直後に恐ろしい形相をした『チアキ』に思いきり股間を蹴り上げられた。
「あっ……、ひゅっ……!」
「た、たいちょう!!」
次の瞬間『コウゾウ』は悶絶するかと思える程の激痛に動くようになった手で、必死に股間を押さえて倒れ伏せた。
「ひゃははははっ!! アンタ今、すっごい情けない顔しちゃってるよぉ? あたしに逆らうから、そんな無様な姿を晒しちゃうんだよぉ!!」
股間を押さえながら涎を垂らして苦しむコウゾウの顔に足を乗せた後、ぐりぐりとその足でコウゾウの顔を踏みにじり、気分を昂揚させながら足元のコウゾウを見て大笑いを始めるチアキだった。
そしてシグレは無表情のまま俯いてチアキの言葉を耳に入れながら、地面に伏せながら苦しんでいるコウゾウを見て唇を噛みしめるのであった。
……
……
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