第965話 強すぎる故の無知
「しかし奴は魔力を感じられぬ。我らの存在に気づけておるのは大したものだが、ここまで分かっているならば『
ふと何気ない様子でソフィがそう言うと、そのソフィの様子にまたかとばかりにヌーは溜息を吐いた。
「む、何かまた可笑しい事を我は言ったか?」
「まぁ普通ならおかしい事だろうが、今回の事はお前ならしょうがないだろうな」
「その理由を聞いても良いかな?」
何故ヌーがおかしいと思ったのか、その理由を知りたいソフィであった。
「てめぇは自分より魔力が上の野郎に『
このヌーのソフィに対する質問は、魔族の魔王領域より上であれば誰もが分かる簡単な質問だった。
「うむ。測定不能と表記されるだろうな」
「それ以外にはどうなる?」
「それ以外? 情報が手に入らない以外には特には無かったように思うが」
ヌーはここで苦笑いを浮かべた。この苦笑いの意味を無理矢理言語で表すとするならば、
「あのな『
「いや、それくらいは分かってはいるぞ?」
ソフィも数千年とこの魔法を使ってきた身である。今更ヌーに教えてもらわなくても理解はしていると言いたげにソフィがそう告げると、ヌーは鼻で笑って見せるのであった。
「格上相手に『
「当然お主が言いたい事は分かっておる。自分よりも魔力が上の者に使えば、頭痛を伴い苦しむと言いたいのだろう? だが、そんな事よりも相手の情報を得られぬ方が優先される事だと思うが?」
「いや、そんな言葉が平然と出て来るって事はまだ分かっちゃいねぇな。普通は格上相手に『
「……」
これには確かにソフィは反論が出来なかった。これまで形態変化を行って戦力値を70万程まで抑えた状態でリラリオの世界でラルフやリディア、それだけには留まらず多くの者達に『
自身が任意で形態変化を起こして、耐魔力などを下げる事は出来ても、彼自身の力を無くすような真似は出来ないのである。あくまでそれは力を抑えているだけであって、本来のソフィの能力が失われているワケでは無いからである。
だからこそリラリオの世界で出会ったスフィアや、今こうして目の前に居るヌーによって、耐魔力が下がった状態時に特殊な技法や魔法を使われて、ソフィは意識を失わされる事はあったが、それはあくまで自分の意識を失わされるだけであって、本能的に危険だと感じればいくら力を抑えていようが、ソフィの本来の大魔王としての防衛本能が働いて
ソフィという存在がいくら力を抑えた状態で『
つまりは目の前に居るヌーの言う通り、ソフィは表面的な部分でしか『
「本来の常識では通常時よりも戦闘中の方が『
「……」
ソフィはこのヌーの言葉に決して少なくない、衝撃を受ける事となるのであった。
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